アラン・ドロンの声は矢張り野沢さんで……そんな求めに見事に応えてくれる一枚です。
(2006-03-27)
作品そのものの持つ魅力も無論ですが、今回のDVD化に於ける最大の魅力は、矢張り「TV放映時の日本語吹替音声の収録」だと思います。所謂、外画吹替の「持ち役制度」に慣れた世代の方々を中心に「アラン・ドロンの声は、矢張り野沢那智さんの吹き替えで聞きたい」といった強い要望をよく聞きますが、そうした「持ち役制度」が殆ど無くなってしまった昨今、このような「TV放映時の日本語吹替音声」収録のDVDが発売され始めたことは、本当に歓迎すべき出来事だと思います。
この作品では、野沢さんを筆頭に、鈴木弘子さん、山田康雄さん、初井言栄さん、といったベテラン声優陣に加えて、今や中堅の地位におられる声優さん方が、高校生などのちょっとした役で出演しておられ、それらを聞き分けるのもまた楽しみの一つです。
外画に於ける日本語吹替の長所は幾つも挙げられると思いますが、私は、字幕を読むことに注意を奪われずに済む分、物語の内容により集中出来て、カメラワークの妙や演技者の僅かな表情の変化を見落とすことも少なく、同じ作品をより深く鑑賞することが可能になる……それが、最大の利点ではないかという気がします。「TV放映されたカットだらけの分だけを見て、その映画を見た気にならないで欲しい」という意見も聞いたことがありますが、人それぞれに色々な楽しみ方があって良いと思いますし、DVDは、それを実に簡単に実現出来る画期的なメディアです。ちょっと贅沢な「楽しみ分け」とでも言えば良いでしょうか。気分によって、今日は字幕で、今日は部分的に日本語で、今日は思い切って字幕無しの原語で……といった切り替えが、簡単な操作で可能となります。将来的に、日本語音声のある部分だけを抽出して再生する方式なども確立されれば、途中で字幕に切り替わる違和感も解消されるでしょう。今後も、DVDならではの良さを生かしたソフトが数多く発売されて行くことを願ってやみません。
マイナーだけど‥
(2005-09-25)
「太陽がいっぱい」「サムライ」といった、ドロンの他の主演作と比べればハッキり言ってマイナーの感は否めないし、ストーリーも総じて平凡。だけど何故か後を引く不思議な映画です。うらぶれたドロン、悲しみを湛えた大きな瞳のヒロイン、不毛な愛に疲れ切った妻。そして彼等の心象風景のような寒々とした北イタリアの港、そこに響くメイナード・ファーガソンのハイトーンのトランペットの音色‥
登場人物達の過去がひまひとつ判り辛く、感情移入しきれないのがなんとも惜しい。
うーん・・・・。
(2005-03-23)
日本の有名TVドラマ“高校教師”の元ネタです。
監督は、“激しい季節”や“タタール人の砂漠”など、かなりシブい作品ながらも一部で根強いファンを持つヴァレリオ・ズルリーニという人です。 実は彼の映画って一度も見たことがなかったし、この作品も、とんでもなく豪華な特典付きのデラックス版まで売り出されているくらいだから、すごく期待していたんですが・・・。
主人公二人の過去が最後まではっきりと語られないので今ひとつよく話が分からないままに終わります。もっとも、そのムーディな映像、音楽が語られない部分を雄弁にカバーしていることははっきり見て取れます。これは過去を語る物語ではなく、あくまでも孤独に身悶えしている人々の現在進行形の物語だということなのでしょう。なぜか70年代初頭の映画って、こういう雰囲気のものが多いです。当時見た人たちにはたまらなく懐かしい作品なのかも知れません。ただ、さすがに30年も時代が下ってしまうと、その雰囲気を実感できなかった世代にそれを分からせるのは困難です。特にラストシーンもあの弱さでは・・・。
うれしかったのは“日曜洋画劇場”で放送された時の吹き替え版が同時収録されていたことです。今と違ってあのころの声優さんって、本人の声に似ているかどうかはともかく、すごく巧くて個性のある人が多かったと思います。なつかしくなってしまいました。