怪物ニクソンを描き切るのはオリバー・ストーンでは役不足
(2008-02-06)
多くの人にとってリチャード・ニクソンという人物は、政治家としての実力があってもケネディの敵として、またウォーターデート事件の主役として、実績よりもスキャンダラスな印象しか残っていないと思うが、辞任後の晩年の様々な政治活動とその評価を見れば、この映画に描かれている内容が少しだけ才能のある映画監督オリバー・ストーンの自己宣伝にしか過ぎないことが判る。こけ脅し的に使われる無用なテクニックや、巧妙に自己主張を混ぜる演出(JFKではこのハッタリ的な演出が巧くいっていたが)など、「これでもか」とあざとい演出姿勢ばかり目立ち、その割りに長時間の映画が終わっても印象が薄い。最近の「ワールドトレード・センター」も含めてスキャンダラスな題材に飛びつくのはいいけれどもう少し映画として完成度を高めないとこのまま二流監督になってしまいます。。
アンソニー・ホプキンスのニクソンはやはり違和感があります。ポール・ソルヴィノのキッシンジャーはそっくりすぎて笑っちゃいました。その他ジェームズ・ウッズ、エド・ハリス、メアリー・ステインバーゲン、J・T・ウォルシュ、E・G・マーシャルなど配役は豪華ですけれど、やはりこの題材はオリバー・ストーンには荷が重すぎたんだと思います。
国民に不人気でも実績を作った大統領
(2007-08-15)
ニクソンというと、「悪役」っぽいイメージが定着しているようです。JFKに敗れ、その後のカリフォルニア知事選挙でも敗戦。しかし、国がニクソンを待っていたかのように、彼は国内が混乱していた時期に大統領に就任します。
米中友好やベトナムとの和平、ソ連とのデタントなど、彼の実績は歴史的にも評価されるものです。
しかし、ウォーターゲート事件など彼自身には不可解な点が多く、グレーなところがマスコミや国民から牽制されていたようです。日常の会話をテープで検証しているのですが、それは自分に自信が持てなくなった証左で、周りからの批判され辞任せざるを得なくなっていきます。大統領の権限を誇示しながらも、人間としての弱さをもドラマ化した作品といえるでしょう。
作品自体は、大変説得力をもった映画です。映画「ダラスの暑い日」や「JFK」の裏バージュンとしてみると、ケネディ元大統領の暗殺を、実行側の視点から感じることができます。また、「大統領の陰謀」も参考映画となります。
混乱していたアメリカを、権力側から見ることができる作品で、一見の価値ある作品です。
内容が重い・・・・
(2004-12-05)
誰にでもお勧めできる映画ではないです。
ケネディーファミリーの好きな人にとってはいいかも知れないけど、
近代アメリカ史のわからない人にとってはつまらないだけ・・・
時間も3時間と長いし・・・
ケネディーの最大のライバルであったことは確かだと思う。
その辺の歴史が好きな人にとってはお勧めするが、それ以外の人にとっては止めた方がいい。
オリバー・ストーンの手になる再考の叙事詩
(2004-09-02)
アメリカ政治史上、最もスキャンダラスかつ豪腕・辣腕でならした
第37代アメリカ合衆国大統領-ニクソンを、
サー・アンソニーが渾身の演技で魅せる。
“リアル・アメリカ”を撮らせたら右に出る者のない
オリバー・ストーンの強烈なスパイスによる味付けは、
「JFK」を超える深遠な衝撃と味わいを喚起する。
(JFK暗殺の黒幕がニクソンだという大胆な仮定は
オリバー・ストーンにしかできない真骨頂といえる)
ニクソンについては不名誉なウォーターゲートのみが語られるが、
スペースシャトル計画を開始したのも、またよく映画に登場する
麻薬取締局(DEA)を設置したのも彼である。
そんなニクソンがいかにして生き抜いたかを
彼自身の視点で描いた本作は、まさに傑作といえるだろう。
この時、たしかに「ニクソン=強いアメリカ」だった。
たとえそれがいかに歪んでいようとも、
それは厳然として、その時代には在ったということを
我々は忘れてはならないのだ…