差別と暴力は絶え間なく憎しみを生む
(2008-04-24)
差別ほど軽率で愚かな行為は無い。ましてやそこに暴力が伴えば、もはや人間性などは介在するわけもない。差別と暴力は、する側にとっては楽だ。やっている本人だけがうまい汁を味わえる特徴を持つ。
楽すぎるだけあって差別や暴力を遂行する側を改心させるのには多大な努力と犠牲を伴う。ありがちな過ちは暴力に暴力で対抗すること。
「殴ったら殴り返す」
暴力は一番簡単な方法だが、それはあらたな憎悪を有無に過ぎず、何の解決もできないばかりか、「誰が悪いか」をとう原初説に陥るだけだ。だから、かなしいかな自分の尻ぬぐいもできない奴らのために、人類は多数の人名を犠牲にしてきた。
ガンジーは、打ちのめされた人々と共に無暴力という「答え」を突きつけた。強い意志という力を得たガンジーは、人間そのものと戦いながら、多くの支持者を得ていく。
この映画は多難なガンジーの存在とその歴史について理解することができるものだ。ただガンジーの思考や行動は思った以上に奥が深い。そういう意味では映画としての見所は少なく、歴史の教科書のような印象をうけるのは否めない。
偉大な指導者に出会う作品
(2006-02-17)
インド独立の父、マハトマガンジー。この名前を聞いたことの無い人はいないと思うが、その生きざまを良く知っている人は少ないと思う。この作品は、彼が弁護士として赴任した南アフリカで受けた理不尽な差別をきっかけに黒人差別運動を開始したところから、インド独立に繋がる運動を指導した彼の生涯を描いている。彼が貫いた、非暴力、不服従、非協力の姿勢が多くの人を運動に巻き込んでいった。
また、彼の人間愛の深さを示すエピソードとして、独立したインド(ヒンズー教)とイスラム教のパキスタンとの間で生じた紛争に抗議して彼が「断食」をした時の出来事が描かれている。断食をしているガンジーの元に子供をイスラム教徒に殺されたヒンズー教の男性が現れた時に、「両親を失ったイスラム教徒の子を引き取り、自分の子として育てなさい。但し、イスラム教徒として育てなさい。」とガンジーが諭すシーンである。周囲の音が何も無いかのように、映画に引き込まれてしまい、本当に、心が「何か高潔なもの」に触れた気がした瞬間だった。
紛争が終わるまで断食を続けたガンジーの意思の強さ(思いが世界を変える)、上述したエピソードに見られるような彼の人間愛の深遠さ、など、見る人の人生観まで変える、すばらしい映画です。
最高です。
(2006-01-03)
演技、シナリオ、迫力、何をとってもすばらしいの一言につきます。
自分としては彼が理想としての非暴力(自分が小さい頃読んだ本の印象はそうだった)ではなく、イギリスからの民族独立のための手段としての非暴力だったということを知りました。
かといって、それは普通の人間ですら容易なことではなく、もちろん独立の指導者という何万人もの命の先頭に立つ立場にいるのだとしたならばその何倍も難しいでしょう。本当に彼以外に成し得る人間が存在しえるのか疑問です。
言葉では伝え切れない迫力、感動があります。この作品は本当にすばらしい。ただ、泣いたり、笑ったりするのではなく、見終わって自然な高揚感を感じられます。
20世紀最高の人間ドラマ
(2005-08-10)
仏陀以来最高のインド人、現代の聖者と呼ばれたマハトマ・ガンジー。
英紙では1001年から2000年の千年間の最も優れた指導者に
選ばれました。
映画は駆け足で進んでいきますが、ガンジーの優れた人間性やユーモラスな一面も随所に見られます。
そしてインドとパキスタンと分離した形で独立する事となった時の悲しみ。
今インドとパキスタンはいつ核戦争が起こってもおかしくない状況です。
堕ちるとこまで堕ちたもんです。今こそ初心に帰って民族・宗教を超えた
指導者が出るべき時だと思います。その時にこの映画は永遠の輝きを持って
受け入れられるでしょう。 何度観ても涙が目に一杯溢れてきます。
ここまで忍耐強くなれますか
(2005-03-13)
ガンジー。名前は知っているけれど、彼がどのような経歴を持って、どのような活動して、彼の運動がどのような結果につながったのかまでを詳しく知っている人は多くないだろう。この作品はガンジーの伝記的映画であり、現代人にも通じるガンジーが持つ普遍的な思想の多くを紹介してくれている。この映画を見て驚いたのはガンジーという富や地位をもたない人物が杖一本でインド独立の父となり、多くの人物を動したこと。彼の葬儀では世界各国から政治家、知識人が集まり彼の冥福を祈ったという。
南アフリカ共和国で黒人差別の運動を引き起こしたことが彼の運動の出発点である。正義を求め戦えば協力する人が必ず現れると彼が言ったように、多くの人々が彼に協力した。インドに帰国してからも大英帝国に対抗する。インドでも彼の運動スタイルは変わらなかった。非暴力、不服従、非協力を貫いた。復讐していてはキリがないという考え方による。
ガンジーによると「歴史を振り返ると真実と愛は必ず勝利しているように思われる。暴君や独裁者のような残忍な為政者は存在したものの、必ず滅びてしまうようだ。」。西洋人がいかに精神的優越を誇ろうとも結果的にガンジーの前には及ばず、敗北した。ガンジーのいう非暴力、不服従、非協力の思想はインド独立につながったのである。
私たちは彼のように忍耐強くなれるだろうか。アインシュタインはガンジーのような人間が存在したことは未来の人間は信じられないだろうと言ったそうだ。インド独立のために断食し、何度も投獄され、耐え忍ぶ姿は現代人にも訴えかけるものがある。この作品が評価されるのはガンジーという人物を巧妙な技術を用いてリアルに伝えているだけではなく、時代をこえる普遍的なメッセージを投げかけている点が大きな要因となっているのだろう。