(フランス+ハリウッド)÷2=ニキータ
(2007-05-04)
ヤクに溺れ、警官を殺し、あわや死刑になる所を政府の裏の組織に救われ、殺し屋に育てられていく女、ニキータ。一見チープでハリウッド的なアクション映画かと思いそうになる設定だけど、その「いかにも」なストーリーを、アメリカらしいエンタメ要素を取り入れたおもしろさと、スタイリッシュな演出と映像、そしておなじみエリックセラの程よい音楽で魅せています。特に全体的に漂う湿った空気はフランス映画特有のもので、ハリウッドとフランスのこの両方の持味を見事に活かしている、この時期のベッソン作はやっぱりイイですね。
役者の魅力を最大限に引き出すのも巧く、演技も英語も下手なジャンレノを、「グランブルー」や「レオン」ではその不器用さを活かした愛すべきキャラとして確立して、見事に成功させた手腕も周知の事実だけど、今作でも主演のアンヌパリローの持つ野性的な魅力を生々しく大胆に、かつ繊細に撮っていてやられます。黒髪ぼさぼさ頭に意志の強そうな瞳、ギリギリまでに痩せこけたジャンキー少女。成長して美しくなり身体が女になっても、中身は原石の様な純粋さと危うさを秘めたニキータ。形容しがたい美しさです。
何度見ても古く感じない、味わい深い映画なので、「レオン」を見た人は是非こちらもお薦め。
監督曰く「ニキータ」の舞台をフランスからアメリカに置き変えて作ったのが「レオン」で、両作ともテーマは同じものを共有してる、ある意味裏返し的な作品という事です。
この頃のベッソン映画はいい。
(2006-11-09)
リュック・ベッソンの映画はこの頃が一番おもしろい。
プロデューサーに徹した最近の彼が関わっている映画は、彼の初期の頃の映画の足元にもおよばないものが多いように思います。
このニキータは素晴らしいですね。後の彼の会心の傑作、レオンとも作風的に似ているのもつながりを感じられて感慨深いです。
NIKITA
(2006-07-21)
とってもオシャレな映画だなぁ、というのが一番の感想です。
カメラワークや場面転換、使っている小道具やちょっとした演出にまで、製作者の卓越したセンスを感じます。女殺し屋のドロドロした生活を描いているはずなのですが、どこか上品。ベッソン監督の次の作品『レオン』の原点と言われている作品ですが、それとは別の輝きを放つ、パワーに溢れた傑作だと思います。
アンヌバリローの荒々しニキータに生のセクシーを見る
(2006-06-23)
ヤク中の不良娘だったニキータ(アンヌバリロー)は警官殺しの罪で公には死刑になったことになり、実はフランスの諜報部員として国家に使われ生死を左右される身となる。諜報員としての厳しい訓練の合間に芽生える、指導教官との奇妙な愛情と、社会に出た後に出会うジャンユーグアングラードの寛容と同棲。恋人の愛と師弟愛と裏切ったら命はない諜報部員との活動のはざまで次第に追い詰められていくニキータ。アンヌバリローの荒々しいニキータの演技が不思議なセクシーさをかもし出している。後にハリウッドでニキータのアメリカ版「アサシン」が作られたが、ブリジットフォンダの金髪の鋭いニキータよりも、アンヌバリローのニキータのほうがより素直で、野生的な分、ニキータの置かれた状況の切なさと彼女の悲しさを率直に現している。映画自体は長くないが、見ごたえのある一本。
慈悲の心への旅路の物語
(2006-04-08)
愛や憐憫どころか、自らの死への恐怖の感情すらどっかで失くしてしまったニキータが、慈悲の心を持つまでを描いた物語。
イントロからハードな描写が続き、一転して殺し屋修行のための忍耐の日々が延々と。
訓練を”卒業”してひょんなことから出会った恋人との生活も、常に”仕事”が影を落とし、安息の日々は続かない。
ベッソン監督デビュー作「最後の戦い」での役柄のような”掃除屋”ジャン・レノが登場するに至って、
ニキータはそれまでの自分を鏡で見るかのような衝撃を受け、ついには慈悲の心を手に入れたかのように見える。
それは、彼女の少なからぬ贖罪ではあるが、エンディングは彼女が自らの罪の深さと、
贖罪に終わりがないことを知っていることを暗示しているように思えてならない。
個人的には「レオン」と並ぶベッソンの傑作としたい。