意外、いやいや、これぞティムバートン
(2008-09-25)
素晴らしい。おそらくティムバートンのコアなファンには予想もしていなかった、期待していなかった部分を見せられた作品であろう。原作が「ほら吹き男爵の冒険」を意識しているかどうかは知らないが、個人的にはバートンなりの「ほら吹き男爵」を現代に生きる自身と父親や社会とも重ね合わせて構築した印象。テリーギリアムが「バロン」で描いた手法とは異なる。私はギリアムの「バロン」大好き人間なので、あまり言いたくないのだが、ギリアムではこのバートンの「ビッグフィッシュ」の様な作品は作れないと思いましたね。内容の感想をもっと書こうと思ったのだが、これまでのレビュアーさんが多くの感想を肯定的な物も批判的な物も含めて、様々な立場と視点で書いていらっしゃっているので私の出る幕は無いですね。これだけ多くの人が良い感想を寄せているという事が、この映画が素晴らしい作品だという証拠じゃないでしょうか。ティム・バートン、現代の寓話を最も的確に映像化出来る映画監督だ。
花は香りまた美しく・・・
(2008-05-09)
映像の美しさと不気味さ、
幻想性と妙に親しみのわく質感。
ティム・バートン一流の演出だと思う。
テンポも抜群。
ストーリーはというと今ひとつ。
青年は悩み、花は香りまた美しい。
理想化された人物像と一本調子の話は、僕には少々疲れた。
普遍性がなく自己完結的だ、
っと言ったら見る映画を間違っているのだろうけど、
もっと人の悩みや満たされなさややり切れたさにうずもれたい今日この頃なのです。。。
(フィクションやファンタジーを否定しているのではないけども。)
自然に流れる涙
(2007-05-25)
幼い頃から父の話すおとぎ話のような物語を聞いてきた息子。
父の死が目前にせまり、その真実が明らかになっていきます。
ティム・バートンらしさのよく出た、物語・映像ともに綺麗で美しい話。
パッケージにもなっている水仙の花畑のシーンは本当に綺麗!!!
私は物語も終盤になるに従って、涙がただ溢れてきました。
泣かせようと意図して出た涙ではなく、
父と息子の絆というか、息子の話す物語に耳を傾ける父の温かい眼差し、
今までもずっと与え続けてきたであろう惜しみない大きな愛情を見ていると泣けました。
名作なのでぜひ一度見てみてください。
大人も楽しめるベッドサイドストーリー
(2007-02-05)
今や、ファンタジーを作らせたら右に出る者はいないティム・バートン監督。
今回の作品は、1人の『ホラ吹き』の一生です。
幼少の頃から、『どこまでがホントでどこからがウソなのか分からないような話』ばかりしていた
エドワード(アルバート・フィニー・若いときはユアン・マクレガーが演じる)を父に持つ
一人息子のウィル。
誰もがエドワードの話す不思議で心温まる話を愛し、彼を愛していましたが、
ウィルは、そんな父に拒否反応を示し、長い間親子関係は断絶していました。
ウィルももうすぐで父親になろうという頃、母親からの連絡で、
父の余命があまり残されていないことを知ります。
実家に戻ると、それまで知らなかった父エドワードの、『ウソのような過去』を
またもや聞かされることに。
しかし、次第に『ウソのような』エピソードの中に出てきた『物的証拠』が
見つかるようになると、またもや、『どこまでがホントでどこからがウソなのか』
分からなくなってしまいます。
このまま、父親の真の姿を知らないまま別れられないウィルは、過去の父の姿を追うことになりますが、
あれほど嫌いだった筈の父親の話に、いつの間にか引き込まれてしまいます。
産まれ故郷を去る時の話、母親と出逢った時の話、ある沼の畔の魔女の話・・・。
これは、子供が小さい頃に、寝かしつけようと話す『ベッドサイドストーリー』です。
だから不思議で、暖かくて、ちょっぴり怖いエピソードも出てきます。
誰もが自分の子供の頃に経験したことのあることでしょう。
『昔話』をあらかた話し終えてしまって、適当に話を作って聞かせてくれたりしたことが。
主人公ウィルも、その程度の『適当な話』だと決め付けていたのですが、父の過去を追う度に、
次第に考えが変わっていきます。
そしてウィルも、彼の人生で一番の『ベッドサイドストーリー』を語るようになるのです。
まだボクには、子供はおろか、人生の伴侶もいませんが、これから先、エドワードのような夫に、
父親になれるのか。そう思わせる作品でした。
子供との接し方が分からないという近頃の親たちには特に、観てもらいたい1本です。
☆4つ半
(2006-10-10)
到底信じがたい、子供だましの作り話ばかりを人に披露しては喜ぶ父親。
「ほら話」をする父親と、「ほら話の中の父親」しか知らず、そんな父を疎ましく感じるようになってしまった息子。
物語は、死期が迫りつつある父親の「本当の姿」を知りたいと願う息子を描く一方で、父の若かりし頃のストーリーがときに幻想的に、ときにロマンチックに、ときにコミカルに展開される。
空想と現実の両方の世界で生きつつも、自分で作り出した空想に逃げ込むのでもなく、現実にばかりとらわれて生きるでもなく、みんなを幸せにし自分も幸せになれるストーリーを自分の人生そのもので表現してみせた父の生き方。
「自分の死に方(=生き方)はこうだ!」と固く信じる者の強さが感じられて、大いに心を揺さぶられる。
若干のネタバレになってしまうが、魔女のエピソードはこのあたりのことをメッセージとして込めているのだと理解したが、どうだろう。
父の想いを息子が理解する頃には、観ている側もドップリと父の世界に引き込まれているはず。
ファンタジーとリアルの絶妙なブレンドぶりに拍手。
☆5つ!と言いたいところですが、細かいところで若干のひっかかりを感じることがあったので1つ減らしておきます。