忍足さんの第二歩
(2007-03-26)
実のところ、ヒロインが聾唖である必要はほとんどありません。過酷なドラマはむしろ「おじさん」の側にあって、ヒロインはそれをサポートする側に回ります。聾唖である前に、自分たちは同じように泣き笑いする一人の人間なんだという忍足さんやスタッフの声が聞こえてくるようです。
花と写真を通して、いろいろな人々(もう人ではなくなった人もいますが)の願いが収斂していくというストーリーです。そのため、「アイ・ラヴ・ユー」程直球では飛んできませんが、つらい/寂しい過去を背負った人々が「生き直そう」とする場面で映画を語り終え、その先は視聴者の想像に任せるという手法が見事で、それを忍足さんの生き生きとした前向きな表情が支えています。ヒロインが聾唖である必要はありませんが、忍足さんである必要は確かにありました。脇役のベテラン勢も実に好演しています。これは二度三度と見るべき作品で、DVDが出たのは嬉しい限りです(DVD自体の画質は残念ながらそれほどではありません。「アイ・ラヴ・ユー」もそうですが、片面一層に120分収録しているので解像度が今ひとつです。映画館で見たかった)。
お恥ずかしながら未見ですが、この方針をさらに進めたのが第三作「アイ・ラブ・ピース」なのでしょう。
作中、植木職人がヒロインと会話を試みる場面にはニヤリとしました。手話を知らない「健常者」は、考えてみれば一種の文盲なんですね。手話そのものにもフランス語やロシア語に感じるような興味が出てきます。
さわやかな気持ちになる映画
(2006-01-20)
ふとした偶然に知り合った男女には,お互いに過去に強い心の痛手があった。自分の心の痛手を,男性によって癒された彼女は,今度は逆に男性を励まし,未来へ向かう力を取り戻してほしいと願う。
聾者と聴者の関わりを描いた映画でありながら,ストーリーはごく自然に展開していく。障害に焦点をあてるというよりは,人と人との関わりを中心に,感動的な仕上がりとなっている。
途中味のある俳優が和ませる場面もあり,見終わった後,さわやかな気持ちになる映画である。