ズレかっこいいラブストーリー
(2008-05-03)
映画を見終わった後、何か心に引っかかり、あれこれと考えてしまう作品を撮る数少ない映画監督のうちの一人P.T.A。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』でも感じた石油王(ダニエル・デイ・ルイス)と神父(ポール・ダノ)のアンバランスなキャスティングを、本作品おけるアダム・サンドラーとエミリー・ワトソンという反りが全く合いそうもないカップルの中にも発見できる。
つまりは、ドリュー・バリモアあたりと組ませたら全くつまらなくなる平凡なラブ・ストーリーを、エミリー・ワトソンというカウンターキャラをぶつけることによってわざと<ズラす>演出をしているのではなかろうか。その<ズレ>は、壊れたオルガンの奏でる音楽や、プリズムによって分散させられた光、アダムの着ている真っ青なスーツなどによってより強調される。観客はその<ズレ>についつい興味をもって彼の映画に引き込まれてしまうのだ。
8人姉弟の末っ子で唯一の男子バリー・イーガン(アダム・サンドラー)。自閉症気味のマイラーで、キレると物にあたり散らすというヤバキャラだ。そのバリーが姉の友人リナと(エミリー・ワトソン)と一撃で恋に落ちるストーリーは、途中ポルノ電話屋(シーモア・ホフマン)の脅迫という邪魔が入るものの、一応のハッピーエンドで幕を閉じる。
しかし、バリーがプリンを買いまくってためたマイルも、会社の経費で年100回も海外出張に行けるリナにとっては全く意味の無いものであり、バリーがラストシーンで奏でるオルガンも音程はズレたまま。「これからはじまるわ」『ゼア・ウィル・・・』と反対の言葉で締めくくられるこの作品は、何かがズレたままおさまりの悪い余韻を観客に残す。もしかしたら、P.T.Aは<予定調和>を最もおそれている映画監督なのかもしれない。
賛否両論あると思います
(2006-02-20)
なんとも不思議な作品でした。アダムサンドラーが好きで観たのですが。明らかにコメディーではないので。コメディーのアダムサンドラー好きにはおすすめできません。きれかたは期待どおりでしたが。幸せな気分になるという人もいるようですが私は逆で暗い気分にしかなれませんでした(私の理解力が足りないのでしょうか?)。全体的に淡々と物語りは進むのですが時おり爆音がしたりするので、情緒不安定にな気分になりました。これがこの監督のスタイルらしいのですが、好きな人と受け付けない人と別れるのと思います。
ハーモニウムと光 〜Here We Go〜
(2006-01-28)
この映画、僕は文句がつけられません♪
脚本、映像美、音楽、キャスティング、演技(完璧じゃない人を演じる完璧な演技)、
それら全てが繋がる間、とても素敵に映りました。
2002カンヌで監督賞も納得。
同監督の「マグノリア」と比べる事自体ナンセンスですが、
マグノリアではずっと暗闇の中に隠して隠してやっと最後に少しだけ垣間見せた、
希望とか光とかの部分を、この映画では出し惜しみしないでむしろ
そこに向かっていく過程をポジティブに描いていて、とても幸せな映画だと思います。
光が有効的に多用されていますが、その光と、ハーモニウムを弾くバリーの背中に
リナが静かに抱きつき言う最後の一言、まさにハーモニウムの音色の様に
柔らかなワンシーンがこの映画の幸せ感を象徴していて、 何度観ても、僕がこれから
幾つになってから観ても、観た後はなんとも言えず幸せな素敵な気持ちになると思います♪
映画をあまり観ない人は好きじゃないかも
(2005-02-27)
映画館で2時間座っていることが平気と言えない人には
薦めません。心惹かれる映像がなかなか出てきません。
ダサいアメリカ人。
出演者はそれだけです。
片田舎に住むチマチマした男、アダムサンドラーが
時折、尋常じゃないきれっぷりをみせます。
普段物静かな男が、突如変貌する。
視点を変えればかなり猟奇的。
普段穏やかに過ごし、ちょっとした変身願望を持っている人には
パワフルでたまらない映画といえましょう。
ストレスの溜まった瞬間ここで切れたらどうなるか。
私たちの多くは妄想に留まりますが、
そこをアダムががつんとやってくれます。
いやいや、ラブストーリーですよ。
観終わった後、なぜか幸せ
(2005-01-29)
始まって30分は、殺風景な光景、周囲の喧騒、主人公の意思表示がほとんどなく、唐突な出来事、突飛な行動と始終流れるBGMに、
モダン・バレエの舞台を観ているような錯覚に。
しかし電話でのやり取りが始まると、ぐっとパワー・アップしていきます。シュールな映像と、電話での会話劇を観るような
作品。それぞれの俳優さんが電話で使う言葉、その様子が見所です。