物語をぐっと引き締めた、ケーニッヒ少佐の人物像。
(2007-04-23)
ドイツ軍フリークが観ても、主人公であるソヴィエト軍兵士ヴァシリ・ザイツェフに感情移入できる、数少ない「戦争映画」のひとつ。
エド・ハリス演じる「ケーニッヒ少佐」が実在するかどうかは全く別次元の問題として、この作品中での「存在感」は素晴らしい! DVDの特典映像で、エド・ハリス自身が「ケーニッヒ少佐」の性格や背景を役作りの上から解説しているが、こういった貴重な情報が得られるのがDVDの良さだろう。エド・ハリスは「ケーニッヒ少佐は戦争から一定の距離を置くために、ベルリン郊外にある狙撃兵学校の校長をしていた。ナチス党員だったかも知れないが、決して信奉者ではなかっただろう。しかし、彼はある一人の人物と対決するという目的のためにだけ、スターリングラードにやって来た」と自らが演じるドイツ軍人の人物像を語る。さらに、ケーニッヒ少佐の息子がスターリングラードで戦死している(劇中で少佐が将軍に明かしている)ため、自ら「息子の終焉の地」を軍人としての最後の戦場として、志願して来たであろうことは容易に推測できる。
ケーニッヒ少佐とロシア人少年サーシャの交友と悲劇的な結末。ここにこそ、ケーニッヒ少佐の断固たる決意が現れていると思う。彼はサーシャを疑ったが、ソヴィエト軍に情報を漏洩しているという事実だけでは殺していない。警告したにも関わらず、「今後、外を出歩かない」という約束を破ったことによって、「気の進まないことをしなければならなくなった」のだ。このシーンは何度見ても、ぞっとするほど恐ろしい。戦争は大人同士が、戦場で命のやりとりをするもの。そこに「スパイ」として積極的に関わって来る以上、女子供でも容赦はしない。ケーニッヒ少佐の人物像が鮮明に浮かび上がる、見事なエピソードである。
もう一度みたい
(2007-01-10)
緊張感がたまらない。
寒さも十分すぎるぐらい伝わってきた。
当時の時代背景など色々考えさせられたりもした。
ありふれた戦争物とは一味もふた味も違います。
緊張しますよ。
後から知ったことですがこれは実話を元にしているんですね。
というか一度見たほうがいいです。
これを言っちゃレビューの意味はありませんが
百聞は一見に如かず、です(笑)
自分的にはそれくらい面白かった。
かつての国民的英雄の物語
(2006-04-17)
第2次世界大戦の初期激戦地となり、ドイツの敗戦への序となったスターリングラードの戦い。かつては、ソ連が国産の戦争映画として映像化したこともありました。
この物語は、その戦場を舞台に狙撃の名手として、国民的英雄となったソ連(現ロシア)兵ヴァシリ・ザイツェフの物語。ジュード・ロウは表情が印象的で、映画の全体的雰囲気を作っています。そして彼の恋人役となるレイチャル・ワイズが、彼を一層引き立たせています。
配役として、フルシチョフのそっくりさんを主演させるなど、笑いを誘う場面もあります。
彼の敵は、ドイツのスナイパー、ケーニッヒ。 最終版の彼らの対決が、淡々と繰り広げられていくのは、見ているものを映画に引き込みます。
巨匠ジャン=ジャック・アノー監督の秀作で、必見の映画。
国の為に戦った男達への鎮魂歌(レクイエム)
(2006-04-15)
これはよくある反戦映画や、戦争の無意味さを表面的に描いた作品とは全然違います。主人公ヴァシリの宣伝に使われる事への戸惑い、恋人との束の間ながら情熱的なロマンス、そして度重なる犠牲に業を煮やしたドイツ軍が送り込んできた狙撃のプロ・ケーニッヒ少佐との息づまる対決。特にケーニッヒ少佐の悪役っぷりが良かった!あれがヴァシリの強さを引き立て、作品をピシッと締めていると思います。
これは余談ですが、ヴァシリ・ザイツェフという人物は実在したそうで、モスクワの博物館には当時彼が使っていたライフルと、後にもらった勲章が飾られているそうで、見る事も出来るそうです。
繰り返し見れそう
(2006-02-05)
素直にいい映画だったと思います。戦争映画は壮絶な戦闘シーンや反戦のメッセージが強く描かれている物が多いけど、コレはちょっと視点を変えて敵対するスナイパーの対決に焦点を合わせているのが新鮮。英雄として宣伝に使われることに戸惑ったり、愛する人に出会ったりという話も盛り込まれて主人公への気持ちも入れ込み易い。ジュード・ロウがあまりにカッコイイイので出来すぎっていう気もしますが、彼の鋭い眼光を捕らえたシーン等は良く撮れてたし、ルックスに負けないいい役者っぷりだったと思います。エド・ハリスは文句なく素晴らしかった!彼が相手役(?)だったことでこの作品はキリリと引き締まっていると感じます。何を演じても外さない、地味だけど存在感たっぷりの彼はこの作品で一番光ってます。