ひたすら陰鬱
(2008-06-13)
若い頃は、陰鬱な作品群に引き寄せられる事が多いようです。
少しでも人と違うこと、自分は特別であるという事を証明するためにそんな嗜好を持ってしまう事も
あるでしょう。
「社会問題の描写」「戦争へのうんぬん」小難しい理屈を持ち出せばいくらでもひねくり回せる
作品でもあります。ひねくり回している自分に陶酔する事もあるでしょう。
このアニメに熱狂的なファンがつくのも、そういう意味では理解できます。
原作となったマンガは、屈折した若者達が、屈折した職場で、屈折した上司とともに、屈折しつつ
しかし熱血してしまう、不思議な作品でした。
ある種、独特の爽快感が有った事を覚えています。
対して、このアニメ版はあくまでも陰鬱な世界観を大切にします。
キャラの造形も、顔の陰影を強く出し、全員まるで老人のように描写されているくらいです。
攻殻にしろ、本作品にしろ、この監督さんは自分の鬱屈した感情を素材の上からべっとりと
塗り込める才能に長けているようです。そこが受けて今のポジションまで上り詰めたのでしょう。
その情念に同調できるかどうかで本作の評価は全く逆になります。
面白かった
(2008-05-18)
93年の作品とのことですが、現在見てもまったく違和感がありません。
生活空間がこういう風に浸食されていく可能性にドキリとする方も多いのではないでしょうか。
戦争や主義というテーマはやや20世紀的な匂いがします。ですが、こういうちょっと現実からずれた思想を押しつけようとする人たちが具体的に行動を起こした世界というのはSFに非常にマッチしています。
また現実世界ではテロという言葉がかみ砕かれないまま使われています。
本当の世界では動機や思想は関係なく、死傷をちらつかせ(または実行し)て脅すこと自体テロな訳ですが、本作中では20世紀的な「議論のための戦争」ではなく、より具体的な思想団体とそれが起こすテロリズムに焦点が当たっているところが面白いです。
戒厳令が敷かれる都内の描写が出てきますが、もし生活している人たちを殺戮する団体が武力で蜂起したら。
ものすごい異様な空気と世界が壊れてしまったかのような風景に圧倒されます。
異常な風景ですが、もし現実に日本でこの規模のテロが起きたならそのとき国は納税者をこうやって守ってくれるのか、より良い手段を持っているのか、それとも有事にさえ平和思想に埋没してしまうのか。
言葉の通じない武力や言葉だけで逃げようとする行為は暴力でしかなく、ただの暴力に対抗する力としての武力をきちんと扱えるのだろうか?
当時その意図があったかは分かりませんが、今見ると武力と暴力の意味を考えさせられます。
ラストのレイバーの白兵戦を行うのはテロリストと普通の公務員。
こういう対比もジワジワと考えさせてくれます。
難しいですがクセになります。
(2008-02-11)
押井監督作品はなかなか難しいですが癖になります。どれもなにかしらメッセージが残るのです。パトレイバーからでも良いので観てください。注意が必要なのはこれはアニメであり映画です。アニメ特有のヒーローが出て大活躍的な単純なストーリーではないです。爽快感を得たい人にはオススメしませんがじっくり人物の動きや作り上げた世界観を楽しみたい人には大変オススメできます。
その罪は、罰せられるべきだ
(2007-12-22)
劇場版第一作と違い、良くも悪くも非常に押井さんの色が強い作品です。PKO部隊として日本から派遣された陸自レイバー小隊がゲリラ部隊と接触、発砲許可を得られないまま壊滅する。そんな衝撃的なシーンから映画が始まります。「モニター越しの戦争」をテーマに、現在の日本の平和はどのようなもので、戦争とは何なのかが描かれています。
この作品は、「アニメ」というカテゴリーを完全に超越しており、子供が見て理解できるとは思いません。特に意識しなければ、大人でも何も感じることなく見終わってしまうでしょう。
「ロボットアニメ」です。「93年の作品」です。しかし、この作品は、今の時代こそ見る必要のあるものだと私は思います。
スリリング
(2007-11-12)
他の作品に比べて重たい内容。
戦闘機のスクランブルシーンは、
「交渉人 真下 正義」のクモの元になっています。
飛行船のトリックも同じです。
「踊る大捜査線」の本広監督は押井監督に絶大な影響を受けていますが、
Movie 1・2と「真下」を見比べると、とてもおもしろいです。