破滅と不滅を兼ね備えた恋の物語
(2007-02-04)
映画の冒頭の10分間がこれまでにないほど魅惑的です。ミステリアスな人物設定、緊張感あふれる事件の過程、スタイリッシュな映像ショット。それらが相俟って、この10分間でとにかくこの作品の世界の中にぐいっと引きこまれること間違いありません。
全編を通じて、ケイト・ブランシェットとジョバンニ・リビーシの見事としか形容のしようがない演技力には脱帽することしきりです。殊に、かなり早い段階での取調室でのケイトは賞賛に値します。自らの計画が生み出した予期せぬ結果に呆然と打ちのめされる主人公のその表情は、ケイトの女優としての力量をまざまざと見せつけられます。
物語の前半が現実のいたましさをいやでも突きつけるかと思うと、一転、後半はどことなく現世を離れた甘美と幻想の彩りをもった世界へと私たちをいざないます。
後半部分で私がもっとも気に入っているのは、主人公二人が夕暮れの田園地帯を駆ける場面。スペースカム(振動を吸収する球形の装置にカメラを仕込んで撮影するヘリコ・ショット)を駆使してたゆたうような感触を醸すその遠景映像の中で、体を重ねる二人の姿は、あたかも宇宙のはずれでひっそりと誰にも気づかれることなく存在する微小な芥子粒のよう。雄大で夢見心地にさせてくれるこの場面は、ぜひとも大型画面で堪能したいところです。
ストーリーの詳細には敢えて触れません。このDVDの解説コメントの中で監督自身も、物語の予備知識を持たないで見てもらうことを望んでいます。おそらく人物設定を詳しく知りすぎてから見るとこの映画の興味は半減することでしょう。
一言で言うならば、痺れるほどの「破滅」的な「不滅」の愛の物語。エンディングまで一気に見せる秀作であることは間違いありません。
美しい!
(2005-04-30)
イタリアで英語教師をするケイトは、夫を死に追いやり、学校の生徒をも巻き込んだ人物を殺すため、そのオフィスに爆弾を仕掛けます。しかし、手違いによって、全く関係ない民間人4人が死ぬことに。逮捕後、その事実を知らされたケイトは、罪にさいなまれます。
その彼女に恋をするのが、取調べを書き残し、通訳する役目となった1人の憲兵。
彼の信じる心と愛の心が、彼女を逃し、元締めを殺す手助けの道へと。
逃亡する2人。トスカーナの風景と、憲兵の一途な眼差しと気持ちにはぐっと来ます。そしてそれに答えるケイト・・・
ヘヴン・・・2人はそこへ行ったのか・・・押さえた感情が何とも言えずいいです。静かでその美しさが心に染み入る映画でした。
綺麗な映画
(2004-08-11)
無駄なところのない研ぎ澄まされた映画、といった印象を持ちました。リアルさに欠けるところも、いつもなら不満に思うところですが、ケイト・ブランシェットに目が釘付けで全く気になりませんでした。ラブストーリーと期待するとその点では物足りなさがあるかもしれません。
破滅と不滅を兼ね備えた恋の物語
(2004-05-06)
映画の冒頭の10分間がこれまでにないほど魅惑的です。ミステリアスな人物設定、緊張感あふれる事件の過程、スタイリッシュな映像ショット。それらが相俟って、この10分間でとにかくこの作品の世界の中にぐいっと引きこまれること間違いありません。
全編を通じて、ケイト・ブランシェットとジョバンニ・リビーシの見事としか形容のしようがない演技力には脱帽することしきりです。殊に、かなり早い段階での取調室でのケイトは賞賛に値します。自らの計画が生み出した予期せぬ結果に呆然と打ちのめされる主人公のその表情は、ケイトの女優としての力量をまざまざと見せつけられます。
物語の前半が現実のいたましさをいやでも突きつけるかと思うと、一転、後半はどことなく現世を離れた甘美と幻想の彩りをもった世界へと私たちをいざないます。
後半部分で私がもっとも気に入っているのは、主人公二人が夕暮れの田園地帯を駆ける場面。スペースカム(振動を吸収する球形の装置にカメラを仕込んで撮影するヘリコ・ショット)を駆使してたゆたうような感触を醸すその遠景映像の中で、体を重ねる二人の姿は、あたかも宇宙のはずれでひっそりと誰にも気づかれることなく存在する微小な芥子粒のよう。雄大で夢見心地にさせてくれるこの場面は、ぜひとも大型画面で堪能したいところです。
ストーリーの詳細には敢えて触れません。このDVDの解説コメントの中で監督自身も、物語の予備知識を持たないで見てもらうことを望んでいます。おそらく人物設定を詳しく知りすぎてから見るとこの映画の興味は半減することでしょう。
一言で言うならば、痺れるほどの「破滅」的な「不滅」の愛の物語。エンディングまで一気に見せる秀作であることは間違いありません。
HEAVENを求めて-美しき逃避行
(2004-03-10)
生涯をかけて「人間愛」という荘厳なテーマに挑みつづけたポーランドの巨匠、クシシュトフ・キェシロフスキの遺した脚本が、ドイツの実力派トム・ティクヴァ監督によって映像化されたのが本作。タイトルはその名も「HEAVEN」である。
監督のトム・ティクヴァは、最新鋭の撮影技術を駆使し息を飲むほど美しい数々のシーンを作り上げ、しかし全編を通して途切れる事の無い緊迫感とつめたい孤独感を作品に持たせていて、素晴らしい。フィリッパ役のケイト・ブランシェットは、巧みに情感を表す優れた演技はいつものことながら、この作品ではそれまで見せたことも無いほどの美しさをたたえている。そして、何よりもこの作品を成功に導いたのは、フィリッポ役、ジョバンニ・リビジの静かなる熱演であろう。まさに名演である。どこか孤独を感じさせる表情と、愛する女性を信じて見守る男の強さを、少ない言葉数の中見事に表現した。「プライベート・ライアン」以降に目立った活躍の無かった彼だが、これほどまでの実力者だとは・・・。感激。
余韻を残し全てを語らないラストも心地よい。彼ら二人のその後については、見るものにゆだねられる。だが、その行く先は決まっている。