後からじわじわ来る映画
(2006-11-23)
ゲイリー・オールドマンの魅力を期待していたのですが、すっかりやられてしまいました。
この映画の中にいるのはむしろ彼ではなく、ベートベンという人物そのものとしか感じられませんでした。
クールさなどは微塵も無く、むしろ不快とも取れるほどの偏屈さや、異常なほどの自己中心的な振る舞い。しかしゲイリーはそんな後世に伝えられているベートーベンの性格の中に、この偉大な芸術家の繊細さ、苦悶と情熱、人間味を実に功名に表現しきったと言えるのではないかと思います。彼だけでなく、その他の出演者の方々も、魅力的であろうとするよりは、とても丁寧に演じている様に感じられました。映像と音楽はとても美しかったです。
鑑賞後しばらく頭の中に喜びの歌がリフレインし、感動の余韻に浸れる作品でした。
フィクションとして楽しめる
(2006-06-30)
ベートーヴェンの不滅の恋人とは一体誰なのか?これは世紀に残る謎の一つだけれど、多くの研究者たちに寄ってその相手は既婚の貴族でアントニア・ブレンターノなる人物だとされている。今作は監督独自の解釈で作られたフィクションとして鑑賞するといいと思う。ラストのすれ違いのシーンに使われる「皇帝」第2楽章のドラマティックな曲や死の床で仲違いしていたベートーヴェンとヨハンナが再会するシーンでの哀愁ある弦楽四重奏第13番、有名な第9など素晴らしい名曲の数々が堪能できる。格調ある映像と、繊細でありながら感情起伏の激しい楽聖を演じたゲイリー・オールドマンの静と動の演技をご覧ください。
心に残る
(2006-04-28)
この映画はフィクションですがGary Oldmanが珍しくも女性に愛される役で演技もとてもいい。
音楽もいい。
コスチュームも女優も幻想シーンもロマンティックで記憶に残る映画。
Gary自身も一番好きな作品とのことです。
ベートーベンを敬愛するものとして
(2005-08-06)
彼が楽聖で「超」のつく有名人であるからいくらでも描き方はあるだろう。
「恋人たちが描くベートーベン像」というのも斬新かもしれない。
しかしどうしても許せなかった場面があった。
甥のカールが自殺未遂をしたあとのベートーベンの様だ。
路上に転がり、一晩失禁したまま倒れている!?
ベートーベンはウィーンで成功した名士。歩けないほどのショックだったら
お金を払って馬車で自宅に帰ればいい。
人に会いたくなければ自宅に引きこもればいい。
史実にあってるいないの話ではなく、描きかたにリスペクトが無さ過ぎる。
身長160センチの小男だったというけれど、どの肖像を見てもデスマスクを見ても
意思の強さとプライドの高さが窺がえる。
耳が聞こえないハンディを抱えて音楽の都で一流作曲家として生きた人物を
女が勝手にメロドラマ話にしたてたような映画だった。
このテーマではどうかと・・・
(2005-03-26)
女性関係の史実がほとんど残っていないベートーベンを、
あれだけ美しい曲を残したのだから、秘めた恋が実はたくさんあったのだろうという
コンセプトで捉えています。
しかし、まるで一番悪い愛しかたの見本のようです。
女性達は、人との付き合い方が下手なベートーベンにやはりとまどい、
彼の曲を聴いて彼を愛し、やがて別れていく。
対人関係がうまくいかず、父親から虐待に近い過剰な期待を受けつつ、
なぜ彼が奇跡のような「人間賛歌」を完成できたのか。
(事実かどうかわかりませんが)あれだけ悪態をつきつつ、
心の琴線にふれる作品を作れたのかが描けていれば、この映画は名作になっていたでしょう。
戦争の場面などセットの雰囲気が強く、女性がバイオリンを弾いていないのも
ありありで興ざめです。
哲学者タイプの音楽家であるのだから、恋愛ドラマにしたてるほうが、
無理があったように思います。