戦争への批判を示した秀作
(2004-05-24)
70年代後半ヴェトナム戦争を題材にした作品に『ディア・ハンター』『地獄の黙示録』『帰郷』が有名だがどれもいいとは思わない。一見悲劇的に描いているが、反省とか倫理観が希薄で一面的だと思う。賞などに惑わされてはならない。
同じ時期ヴェトナム戦争を直接題材に採らず、それで強く批判精神を訴求する作品が三作あった。一つ目はペキンパー監督の『戦争のはらわた』。二つ目はアルドリッヂ監督の『合衆国最後の日』。そして三つ目はこの作品だと思っている。
この作品はあまり評判が良くなく貶す評論も目にしたが、楽しみたいなら他の屈託のないおもしろい戦争映画を観ればいい。俳優たちも質が高く見ごたえのある仕上がりで、理屈がなくても観ていて自然に戦争の虚しさや悲惨さが感じ取れ戦争の意義を考えさせてくれる。そしてケレン味はないが叙情性がある映像も見事だと思う。
新しく撮ったドキュメンタリーやメイキング付きで『特別編』としてリイシューされた。これは実際に戦地に行った人たちや製作者達の証言を記録したものだが、これがなかなか興味深く価値がある。当初から戦争へのアンチテーゼを持って作ったこと、史実を調査・検討して歪曲せず組み立てたことが分る。『遠すぎた橋』を観るのならこの『特別編』で観ることをオススメしたいし、この作品を愛する人なら買いなおしても損はないと思う。
見どころ満載だが
(2004-02-15)
第二次大戦末期、オランダ国内の重要拠点となる五つの橋を空挺部隊と陸上部隊の両面作戦で一挙に占拠しようとした連合軍。その戦いの悲惨さを描いた巨編だ。
圧巻とも言える豪華オールスターによる名場面の連続であり、単なる戦争映画ではなく人間ドラマとして成立しているとは思う。だが、五つの橋の一挙奪還と言う作戦が困難だったように、その作戦を映画化すると言うのも難しさを伴うものだったに違いない。今どの橋での戦闘シーンなのか?どの俳優がどの地点にいるのか?どうしても説明的にならざるを得ないし、説明されてもにわかには全体像がつかみ難い。それ故に今一つ感情移入しにくい部分が残る。その点だけが惜しまれる。
勝者なき戦い
(2003-11-23)
『素晴らしき戦争』(原題:Oh! What a lovely War、1969)で戦争映画の新境地を開拓したリチャード・アッテンボローが第二次大戦を題材に、戦争の無残さと不毛さを描き出す傑作。
舞台は「ノルマンディー上陸作戦」直後のオランダ。アメリカ軍の快進撃を見せ付けられたイギリスのモントゴメリー元帥は、オランダの開放を目指す「マーケット・ガーデン作戦」の遂行を指示する。命令を受けた現地の連合軍は、ベルギーからの部隊と、オランダ国内に潜入した空挺部隊が国境沿いの5つの橋を占拠し、全軍でドイツ軍を国外に追放する作戦を練る。
当初は順調に見えた作戦行動も、悪天候でドイツ軍の予想外の反撃、情報伝達の悪さなどから次々に軌道修正を余儀なくされる。やがて、物資が尽きた連合軍は、ドイツ軍に和を請うに至る。
作戦失敗後、指揮能力の欠如と責任問題を追及しようとした主人公(ショーン・コネリー)に対し、優柔不断な司令官ブラウニング中将(ダーク・ボガード)は、「橋が、少し遠かった」と答える。命をかけて闘う兵士たちと、自らの判断の責任さえ取れない司令官の差は、戦争がいかに不毛なものかをまざまざと見せつける。
現実のもつ重みと、諧謔味さえ漂わせるアッテンボロー監督の視点、そして優れた演技を見せる出演者たち。戦争の世紀が生んだ、戦争映画の傑作だ。
男の子が画面を食い入るように見るお手本
(2003-11-20)
~公開当時、中学生でしたが前売り券を買って見に行きました。とても楽しみに
していた記憶があります。オールスターキャスト、実際の兵器の登場(特に独
レオパルドの新型)が話題になっていたと思います。
圧倒的なスケール感と、細部にわたるディティールの徹底が記憶に残っています。
~~
机上と現実の差というものを連合軍、独軍双方にあるのを感じ、見栄や権威という
物で、前線の兵士達が割りを食う。見終わった後に爽快感はありませんでした。
当時、テレビでもメイキングが放映されていたと記憶しています。そのときに
アンソニーホプキンスが、橋の上で敵弾をかいくぐり走るとき、威厳を持たせる
~~
ために悠々と走るように、実際の将校からアドバイスされたといっていたのが印
象に残っています。映画のシーンではドイツ戦車隊のハーディークリューガーの
将校用戦車兵ユニフォームが、着こなしとともに凄くかっこ良かったと中学生の
私は友人に言いまくっていました(笑)~
ウレシイ!特典ディスク付2枚組
(2003-10-13)
特典のドキュメンタリー映像を見て、空挺部隊の降下シーンなどが当時の記録フィルムとソックリなことに感動。また、当時実際に作戦に参加したという人たちが、映画のシーンや映画では語りつくせなかった隠れたエピソードについて語っていて、まるで原作本「遥かなる橋」のようだ。そして監督や製作スタッフのメイキングを見てマーケット・ガーデン作戦の全貌を誠意を込めて描こうとしている姿勢が伝わってきてこの作品に対する愛着が増した。地図やイラストを使った作戦マップのようなものと映画のシーンをリンクさせてインタラクティブ性を付加したら(昔ビデオCDで無かったっけ?)完璧なんだけどなー。