買うならこっち
(2005-04-12)
スピルバーグを尊敬していて、彼の作品は全て揃えようと思い、半ば義務感から買いました。最初に見たのは劇場です。
うーん、何と書いていいか、本当に迷います。絶賛される皆様の気持ちも分かるつもりですが、特別版を購入するほどの必要はないのではないか、と考えています。
世界中の誰もが思っているでしょうが、スピルバーグといえば、あきれるほどのストーリーテリングの巧さなど、数少ない職人芸を持っている監督です。
ところがこの映画では、かなり言い淀んでいます。それが狙いなのだとしても、上手くいっているとは思えません。もっと苦痛に近い時間を要求しながら、なおかつ素晴らしい映画は他にたくさんあると考えます。(例えば「旅芸人の記録」など)
この映画を「ジョーズ」や「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」「ジェラシック・パーク」より優れていると言う人がいたら、その方は映画の「内容」に反応しているのでしょう。
僕は「映画が何を描いたか」より「映画がどう描いたか」により興味を持っています。テーマを軽視するわけではありませんが、映画の魅力は何よりも「画面」にあるものだと信じているからです。
劇場1回分のお金ということで、まあ、駄目でも腹が立たない(ように自分を信じ込ませられる)のはこっちでしょう。未見の人は必ずレンタルビデオでチェックしてください。
少年のボーイソプラノが素晴らしい
(2004-10-31)
公開時映画館で観て、その後VHSで購入した。今DVDで購入しようか迷っている。中国で戦争に巻き込まれた少年が、何とか生き抜き終戦を迎えるまでが描かれる。
上海に住む富豪の息子が日本軍の侵入から逃げ遅れ、一人中国に残される。少年は大人相手に渡り合い、収容所に収容された後もしたたかに生き延びる。彼は飛行機好き少年で零戦のカッコよさに憧れ、日本軍の整備兵と仲良くなったりする。が形勢が逆転しP-51ムスタングが進出し、零戦はこてんぱんにやられる。自分が攻撃されそうになりながらP-51に「P-51! Sky of Cadillac!」と熱狂的なエールを送る。子供に戦争とか政治は関係なく、単純にカッコイイ飛行機が好きなんだ。この映画は政治などの難しいことに関係なく、そんな気持ちを含めた少年の姿を描きたかったのだろう。スピルバーグは自分の少年時代をこの少年に込めているのかもしれない。
この映画の一番のお勧めは主人公の少年が歌う賛美歌(?)。美しいボーイソプラノのアカペラが心に残る。これを聞くためだけでもこのDVDを買う価値がある。
子供からみた戦争
(2004-09-17)
が描かれているんだなと思います。
政治とか難しい事を抜きにして、戦争が子供にとってどんなものか、ということ。
ゼロ戦とか戦闘機とか、かっこいいものに純粋にあこがれていたお坊ちゃんが孤児になってしまう。それでも、収容所でどんどん逞しくなっていく姿は見ていて頼もしかったです。“逞しくなる”っていうのは、ある意味、純粋な心が荒んでいくということで、ラストシーンでの少年の疲れきった顔は見ていて痛々しかった。
子供にとっても戦争は悲惨な物には違いないし、この映画もそのようには描いている。だけれども、出てくる登場人物は皆、基本的には善良な人たちなのであまり悲惨さは感じさせられなかった。最終的には救いのあるエンディングだし、やっぱりアメリカの映画という感じがする。
でも、出てくる日本人が、やっぱり“アメリカ人がみた日本人”という感じがしてあまり共感できなかった。演出にも無理があるような箇所があった。それから、長崎の原爆の光が上海からも見れるのかどうかは純粋に興味がある。
キャスティングの妙
(2004-09-08)
戦争に巻き込まれた少年が、人々との出会いや収容所での出来事を通して、生き延びる術を学び成長していく姿を描く。1941年から終戦までの時の流れを、主人公ジムを演じたクリスチャン・ベールが目を見張る演技で見せてくれます。
ただ、物語の中盤から終盤にかけてのジムと日本軍飛行士たちや、日本人の少年との交流を描いていく場面で、スピルバーグらしいあざとい演出やエピソードが少し気になりました。
でも、この映画にはそんな思いを帳消しにしてくれるものがあります。それは、上海の町並みや逃げ惑う群集、飛び交う戦闘機を捉えた迫力ある映像の見せ方は上手いし、なによりも、一番の功労者はクリスチャン・ベールの存在に尽きると思います。喜怒哀楽の表情を巧みに使い分け、物語の序盤と終盤の少年ジムはまるで別人。そして、ラストのなんとも言えないジムの表情が心に残りました。
是非、観て欲しい
(2004-02-03)
エンターテイナーのスピルバーグが監督した戦争映画。英国人少年の視点で描かれているが日本人については理解不能な民族としか受け取れない。戦争中なのに日本人は中途半端に叙情的。暴力を振るったかと思えば、歌う少年に優しく微笑む、にこにこ笑う少年兵士、マンゴを切るために刀を振りかざす、違和感は数え上げればキリが無い。親日家と称し、お忍びで日本へ観光に来たとか「黒澤映画」の信奉者などと言うのは違うのではないか?「1941」の日本人も奇妙だったが、あれはコメディだから許せる。これはひどすぎ。スピルバーグでこの程度。ましてや「パールハーバー」や他の映画も当然それ以下の日本人描写なのだろう。戦争のリアリティを追求した「プライベートライアン」には監督の真摯な姿勢が伺えたが同様のテンションはこの映画には感じられない。