それなりに理解は可能
(2008-03-05)
予備知識なしで見た第一印象は、以下のとおりです。
残念ながらだいぶ外してしまったようですが…。
作家志望でありながらなかなか芽が出ず、副業で害虫駆除の仕事をしている男が、
害虫駆除の薬剤を麻薬代わりに使ってトリップする妻にそそのかされ、
同様に薬剤を乱用するになってしまい、現実と妄想との区別がつかなくなる。
妄想の世界に現れるのは、書けない自分をあざ笑うかのような、
グロテスクに変形したタイプライター。
不可解な世界で気づかされるのは、自分の文学と、なにより自分自身にとって、
妻がかけがえのない存在であったということ。
しかし、銃弾は決してグラスを砕くことはない、もう過去には戻れない…。
特典のメイキング映像を拝見するに、
本作は、バロウズという前衛的な作家の数奇な人生と、
その代表作「裸のランチ」の内容とをミックスし、
クローネンバーグ監督の美学に基づいてまとめ上げた作品のようです。
ありきたりなストーリーや刺激のない映像に飽きたマニアの方は、
面白いと思うかもしれません…。
前衛実験映画の傑作
(2007-06-11)
本映画のデビッドクローネンバーグは原作、音楽の選択が
実にうまい!
この商品の説明もかなり出てきますが、バロウズの原作は
ビートニクスというジャンルの小説の中では名作。カットアップ
法という音楽に喩えるとマッシュアップの方式を小説に取り入れて
います。粗筋よりも文体の躍動感を持たせた小説形式です。
またオルネットコールマンというフリージャズ(前衛実験ジャズ)
の巨人を映画の曲に挿入しています。
私はこの映画からオルネットコールマンを知りました。これも
収穫ありました。
音楽的にもかなり楽しめます。
私自身この系統の映画を好きでよくこの作品を人へ薦めて
面白かったと言われて嬉しくなったことがありました。
ジェームスウッズに非ず
(2007-03-19)
主人公・ウィリアムリー演じるのはウッズではありませんのであしからず。
ピーター“ロボコップ”ウエラーですな。
これとイグジステンズはなぜかビデオで繰り返し見てしまいます。
物語が始めから終わりまででループしているせいでしょうかね。
デットエンド映画界の環境ビデオとしてどうぞ”
クローネンバーグ初体験
(2006-09-27)
初見のとき、誤って吹替版を借りてしまい、おかげで抱腹絶倒ものの2時間を過ごすはめになった。薬中の作家が体験する現実とも妄想ともつかぬ世界。いきなり妻を射殺したりタイプライター型のゴキブリないしゴキブリ型のタイプライターがしゃべったりと、グロテスクかつ支離滅裂な作品だけれど、それでいて全編を奇妙なユーモアが覆っている。ラストはすこぶる不可解だが、あれはああなるしかないという必然性は感じられる。それにしても、あの終わりは、作家とは「書く」という行為を通して現実を反復・変奏してゆく存在だということを暗示しているのだろうか?
幻視者たちの饗宴
(2006-07-23)
劇場公開からもぅ15年、DVD版も発売から4年経っているので、いい加減「うっかり観ちゃう」人もいなくなったとは思うのですが、もしも予備知識なしに、問題作という触れ込みだけにつられて観ようとする人がいたら、やめておいたほうが無難です。
特に虫や同性愛に生理的な嫌悪感を抱く人、物語の筋道がきちんとしていなければ気がすまない人、映画に感動を求める人は、お願いだから観ないでください。
さてさて、これらの高い高いハードルを乗り越えた「セレクテッドピープル」の皆さんには、これ以上の説明も不要かと思いますが、あえて付け加えるならば、この作品は「バロウズとクローネンバーグの合作」であること、それからほとんどセットで撮影された「ライティングのうそ臭さ」に注目してほしいと思います。
なにしろ、ある意味では「ヴィデオドローム」へ先祖がえりしたような演出がこれでもかというほど出てきますし、人口光のもつ「必然的なうそ臭さ」が悪夢的なまがい物感を濃厚に漂わせ、文字通りの意味で観客を幻惑させてしまいます。
それから、DVD特典映像のメイキングは必見です。でも、本編より先に観ると、どちらも面白さが激減してしまうので、必ず本編を先に観てくださいね