法廷劇というよりは社会劇
(2004-07-24)
太平洋戦争が終結して5年が過ぎたワシントン州のある島で、漁師カールの遺体が海から引き上げられる。容疑者として起訴されたのは日系人の漁師カズオ。カールとは幼馴染であったが、戦中のアメリカ政府による日系人強制収容政策の頃から二人の関係はぎくしゃくしていた。
事件の真相を独自に追う地元紙の記者イシュマエルは、カズオの妻ハツエと一度は契りを交わした仲。ジャップという蔑みの言葉がいまだ何の躊躇もなく日常生活で飛び交う時代に、イシュマエルは果たして事件の真相を明らかにできるのか…。
人種的偏見が多分に行方を左右すると思われる法廷劇と、アメリカが自国の市民に対して行なった「戦争犯罪」とをからめて描く、なかなか骨太な社会劇です。
日系アメリカ人のマンザナール収容所送致政策、その政府の失政に矢を放つジャーナリズム、そしてそれを売国奴よばわりする白人社会。こうした構成要素を実に丹念に積み重ねています。こうした自国の恥部を描くことに対して臆するところがないというアメリカの民主主義の健全さを、日本の映画界ももっと学ぶべきだと思います。
法廷劇としては大きな起伏はありません。被告側弁護人によって諭すかのように静かに語られる言葉を、ひとつひとつ噛みしめながら味わう必要がある大人の物語といえます。
残念ながらこの映画には少々勇み足の部分があります。マンザナールは日系人強制収容所の代名詞として人口に膾炙しているのは事実ですが、かといってこの映画の舞台であるワシントン州の日系人が収容されたのはそこではありません。ハツエたちが送致されたのはアイダホ州のミニドカ収容所であったはずです。マンザナール以外にも多くの日系人強制収容所が存在したということを知らしめる絶好の機会が失われてしまったのは惜しまれます。
すべてが一流
(2003-06-14)
多くの文学賞を獲った原作。
監督(S.ヒックス)、脚本、カメラワーク、音楽等の製作陣、
それに加え、M.V.シドー(弁護士)、J.クロムウェル(判事)、
S. シェパード(イシュマエルの父)、そしてE.ホークという俳優陣、
アカデミー賞クラスの俳優陣のオンパレード!
工藤夕貴も日本人バイリンガル女優として、上記の一流スタッフ陣の中でも
十分に存在感があり、この作品でデビューのコリアン系アメリカンの
リック・ユーンもすばらしい。
なぜ音響効果しかアカデミー賞にノミネートされなかったのかが不思議である。
美しくもあり骨太な最高傑作。
動機は”ザオ”のデビュー作品だってことで観てみたら…
(2003-03-31)
「007・ダイ・アナザー・デイ」で忘れもしないボンド様の敵!ジャガー転がす顔面ダイアモンド男を演じたリック・ユーンのデビュー作だってことで観てみました。おーなんと夕貴ちゃん演じるハツエの夫役!コリアンだけど日本人を演ってる!そんなことより切実なストーリーにぐいぐい引き込まれていく!戦争と人種差別問題に引き裂かれる若い二人という悲恋物語に泣いちゃった…。ハツエとイシュマエル(イーサン・ホーク)のそれぞれの立場で自分ならどうしたかな?と思い考える、否、考えたくない、逃げ出したい、でも戻らなきゃ…。日系移民を取り上げた作品は「ピクチャーブライド」「愛と悲しみの旅路」なども良かった。当時の日系移民の苦労を知り同胞として様々考えさせられた、昔の日本人はえらかった!皆”おしん”だ!ところで、「ピクチャーブライド」で夕貴ちゃんの夫役の俳優さんが「ヒマラヤ杉に降る雪」では父親役、「愛と悲しみの旅路」のヒロインは「ピクチャーブライド」では夕貴ちゃんの親友役、とまあ日系人つながり、世間って狭いね??
工藤夕貴は好きじゃないけど。
(2003-02-08)
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けっこう地味ですが
(2002-12-13)
最後まで観て初めてほのかな感動を覚える純文学作品ですな。
やたらエッチなシーンもあり、あれが無ければ途中でメゲるかも知れない。
映像と音は素晴らしく綺麗です。工藤ユキもかわいい。
日系アメリカ人の立場の弱さが目立ちつつ、実はイーサン・ホーク演じる白人が心に痛みと嫉妬を感じていた、という何とも狂おしい精神の葛藤が良く表現されています。真っ直ぐに聳え立つ木立に雪が積もり、一体また何を覆い隠して行くんだろうとしばし考えた次第です、