不朽の名作! あなたにとっての「道」を見つけて下さい
(2008-11-24)
イタリア映画界の巨匠フェデリコ・フェリーニ初期の部類に属する大名作です。初見のみなさんはぜひ予め粗筋を見ず、余計な知識を入れずに、鑑賞することをお薦めします。きっと深い深い感動を得られ、もし涙こそ出なくても、きっと魂がうち震えるような感動を味わえることでしょう。“生命の尊厳とは”“人が老いさらばえた時の行く末”“過去の過ちにどう向き合うのか”など色々なことを教えてくれる映画です。ハリウッドのアクション映画やテレビドラマもちろん、おもしろいのですが、この映画も言うなればメチャクチャおもしろいし見入ってしまいます。映画『道』は問いかけます…どんなに惨めと思える人生でも人は生きる価値があるのか? 強者なら弱者を踏みにじってもいいのか? それで果たして勝ったと言えるのだろうか?人の人生を台無しにしても、その人物は果たして救われるのか?……何だかこのように書くと、ドストエフスキーの『罪と罰』のようなテーマを帯びていますが、まさしくフェリーニは映画『道』で、あの文学界の大巨人ドストエフスキーが問いかけた思想を表現しているように思えてきます。この映画は私達に常に問いかけます、一体全体、魂の救済とは何か……そして素直に我々に深い感動を与えてくれます。 これに続く映画『崖』『カビリアの夜』を最後に フェリーニは従来の起承転結の物語をやめ、映画話法ならではの華麗なストーリーテリングを用い、私たちを摩訶不思議で少々難解なフェリーニワールドへと誘うことになるのですが、その意味でも、映画『道』はフェリーニが非常にシンプルに物語というものを語った分かりやすいフェリーニ映画の入門にピッタリの映画であり、なおかつキリスト教的救済物語の白眉だと思います。
最後にニーノロータの音楽がこれまたとても素晴らしいです。彼の数ある名曲の中でも最高傑作といっても過言ではないでしょうか? ジェルソミーナの哀愁を帯びたメロディー…!フェリーニとニーノロータのコンビは、真の意味で映像と音楽がともに映画の質を高め合った稀有のコンビだったと思います。ともあれ、この映画『道』はきっとご覧になったみなさんにとってそれぞれ特別な存在の映画になると請け合いです。あなたにとっても、ひとつの人生の“道”しるべになる映画ではないでしょうか。
訴えかける「間」の力
(2008-09-21)
これはイタリアの映画。まずハリウッド映画なら絶対使わない「間」や、静かな演技表現を、とても大切にしています。 女と遊びほうけるザンパノを、道端でしょんぼりと待ち続ける、知的障害を持つジェルソミーナ。「間」も長すぎるわけではないし、景色も変わらず、特別な工夫がされているわけではないのに、長い長い時間と、途方にくれる彼女の気持ちが、何故かチャチい演出のハリウッド映画なんかより、ストレートに伝わってきます。 ザンパノが「自分が置き去りにしたジェルソミーナが死んだ」という真実を知ってから、海岸で泣き伏すまでにも、しばらく間があります。信じたくない、飲み込めない、その葛藤や放心状態が、また強く伝わってくる。普通に考えて、絶対絶対許したくない嫌な野郎なのに、姉のローズの時だってこきつかって弄んで病死させたくらい良心の麻痺した男が、罪のない綱渡り師を無惨に殺した男が、捨てた女の訃報を聞いたくらいで改心するもんか。病気を悪化させて捨てた時点で、こうなることくらい想像ついてなかったのかよ。そう頭ではひたすら憎らしく思うのに、静かに繰り返す波の音と「間」が、そんなザンパノの涙をも信じてやりたいという、ジェルソミーナと同じ心にさせてしまうから、不思議です。
良すぎて震えた。
(2008-06-25)
最高の脚本。
観て絶対に後悔することは無い。
人類が存在する限り永遠に観られていく映画の一本です。
男はみんな ザンパノ
(2008-05-20)
男は、なんだかんだ言っても 自分が一番正しいんだ、
一番偉いんだ、と思ってる存在なんです。
男は、人に弱みなんか見せられない存在なんです。
だから困った時でも人に相談したり、
自分が悪いと分っていても素直に謝れない存在なんです。
それが 男なんです。
男はそんな存在ですから、
彼女がいても、家庭があっても孤独なんです。
だれかと飲んだり騒いだりしても 孤独なんです。
だから、泣く時も、
だれも見ていない処で、出来る限り声を立てずに泣くんです。
何かを得ようとするのではなく
(2008-02-23)
黒沢明は「この映画であなたは何を語りたかったのか?」と聞かれ「そんなこと一言で言えたら映画なんか作らないよ」と答えた。「道」を見て、そこから単純なメッセージを得ようと思うのは短絡的であり、恐らく作者フェリーニの意図するところではないだろう。
「道」は言うまでもなくフェリーニの名作であり、名作の条件の一つが時間のテストに堪えうるということでれば、明らかに半世紀以上、この映画は名作としてその名を映画史上に刻み続けて来た。野獣のような大道芸人の男と、純粋無垢な知恵遅れの女の物語であるが、もちろん紆余曲折あり、なんともやりきれないほど物悲しい映画である。単に終戦直後のイタリアの物語として楽しむのもいいだろう。また、宗教的な意味を探ってみるのももう一つの楽しみ方かもしれない。
イタリアン・ネオ・レアリスムの末期の作品であり、またネオ・レアリスムと一線を画した天才フェリーニの記念碑的作品であると同時に、名優、ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クィン、リチャード・ベースハートの名演に、演技とはこうあるべきと実感させられる映画でもある。