暗号の最後の障壁は人間の頭脳の未知領域
(2008-03-29)
映画は1998年4月3日リリース。6,000万ドルの制作費に対して興行収入自体は3,300万ドルとふるわなかったが内容がある素晴らしい作品だ。主演のブルース・ウィリスはいつもと同じように素晴らしいが、それ以上に自閉症の天才少年サイモンを演じたミコ・ヒューズの演技が素晴らしい。
暗号解読で最も有名な話は第二次大戦中ドイツ軍が使用していたエニグマをイギリスが解読していたことだろう。この暗号技術の欠陥をポーランドの数学者が見つけたことも原因だが、解読に成功した最大の要因は暗号作成側が想定しなかった方法で解読を試みたからだ。暗号解読専用のコンピュータを500台以上も作り(ちなみに世界初のコンピュータだった)、毎日24時間、解読を自動的にやらせ続けたのだ。アメリカのような国がいかに暗号というものに今でも莫大な金と労力をかけているのか、をこの映画は垣間見せてくれる。
そしてこの映画の中でもNSAが述べているが、最後の障壁は人間の脳の未知の力だ。予想不可能な方法で新しいスタイルを生み出す人間の脳・・・たとえば素因数分解を利用したRSA暗号はノイマン型コンピュータでは時間的に不可能であるのに、量子コンピュータは理論上、現在の最速スーパーコンピュータで数千年かかる計算を数十秒でこなすことができ、破れる可能性が高くなった・・・そういうモノを生み出す人間の脳に凄さを感じた。
自閉症を表現する難しさ
(2004-04-03)
自閉症を扱うさまざまな映画の中で、もっともその表現を正しく描いている一作だと思います。サヴァンに過剰なイメージを持たせるのはどうかとも思うのですが、現実の一側面としてサヴァン症候群のひとたちの特殊な才能は存在するものですし。ヒロインのぞんざいな描き方(笑)や、暗号を扱う組織のセキュリティーの描き方など、え?と思うところもあるのですが、冒頭のシーンから一貫して父性というものを積極的に描く、まれな傑作だと思います。
マイコー・ヒューズ君の名演技は一見の価値あり
(2003-02-01)
自閉症の小児は、情緒が内向的であり情緒不安定であるが、
サヴァンとしてある種の特殊な能力を秘めていることは、
他の映画でもよく描かれているが、サイモン役のマイコー・ヒューズ君の
演技は、迫真に迫っており、天性の演技力を感じた。
また、その子に接することとなるブルース・ウィルスの
初対面の当惑から次第に接する距離感をうまくとろうとするが、
十分な時間をかけられないもどかしさの中で、事件を
解決しなければならない歯がゆさは、監督は異なるが、
FBI,NSAなど国家規模の事件につながる本作品と
身近におこりそうな事件を描く「シックス・センス」とは
ブルース・ウィルスの子供に対する父性の共通点を感じました。
日本人にピッタリ
(2002-06-17)
国家機関の最高水準の暗号を解読してしまった自閉症児。ブルースウィリスが国家機関の暗殺の手から必死で守る。あらすじは典型的現代アクション物です。しかしこの不幸な自閉症児をこよなく愛した両親がこともなげに殺されたるする場面もあり,この子将来,あっさり殺された両親の無念さに感情移入してしまい,ドライなだけの映画ではありません。(自分の子が3歳で,この自閉症児の言葉遣いが良く似ているので特別入り込んだのかもしれませんが)最後に自閉症児が少し心を開く場面も見え見えでくさい?かも知れませんが,つい目頭が熱くなりました。「良かった!」と思ってしまった。
一方国家機関のほうは,あくまで冷たく,悪役の極みをいっており,これは水戸黄門の世界に通じています。
日!本!人にぴったりdryでwetな映画です。
国家機密を解いた自閉症児を守れ
(2002-02-15)
自閉症の人が常人をはるかに凌ぐ才能を発揮する現象を「サヴァン症候群」という。「レインマン」でのダスティン・ホフマンもそういう能力を発揮していた。
この物語は自閉症の少年がその能力で,国家機密を守る暗号「マーキュリー」を解読してしまうことから始まる。少年はNSA (国家安全保障局)の殺し屋に命を狙われることになり,FBIのハミダシ捜査官であるアート(ブルース・ウィリス)が彼を守る。彼がこの事件に関わるのは最初両親が殺害された時隠れていたサイモンが見つからず「誘拐された」と誤解されたため。FBIは普通の殺人事件では出て来ないのだ。このヘン,アメリカでは常識なのか日本で観てると説明不足な気がする。……でも日本のほとんどの観客にとってはFBIもシカゴ市警も変わらないか。
仇役のNSA幹部クドロゥ (アレック・ボールドウィン) の「解読できたやつがいるだと,じゃそいつを殺せ」という短絡的思考回路はあんまりと言えばあんまりだし,他にもいろいろヘンな部分が多いシナリオだが,子役のマイコ・ヒューズが素晴らしくいい演技をするので相殺,終わってみれば「なかなか面白かった」と言えると思う。