名作へのオマージュ
(2007-12-11)
いろいろな公共団体から推薦をもらえそうなポリティカル・コレクトな内容ではあるが、この映画の中にはかつての名作に対するほほえましいオマージュがたくさん含まれている。『タイタニック』や『風と共にさりぬ』、『街の灯』、『美女と野獣』などはそれと意識しなくともベタに登場してくるからすぐわかる。ろう劇団員集めに苦労するくだりは『七人の侍』。ペンギンとブタナリの愛のメールのやりとりは『ユー・ガッタ・メール』。公演における欠員代替劇は『恋におちたシェクスピア』。元の作品との距離感がなんとも心地よく、とぼけたユーモアに自然と笑みが浮かんでくる作品だ。
そんな笑いの要素だけではなく、この作品はろう者と聴者の間に横たわるシリアスな溝にも言及しているまじめな映画でもあるのだ。家庭の主婦とろう劇団のヒロインを兼務する水越朝子役を実際のろう者である忍足亜希子が熱演している。朝子が劇団の練習中、娘の愛ちゃん(この子の演技がまたウマイ)が母の代わりに食事を作っている最中に指を怪我してしまう。この事件がきっかけで夫隆一(田中実)と朝子が大喧嘩するのだが、「聴者のあなたにろう者の私の気持ちなんてわからない」と声にならないウメキ声をあげる忍足の迫真の演技には、その重たさに思わずドキッとさせられた。
また、娘の愛ちゃんが得意の手話を駆使してろう者と聴者の通訳として大活躍しているシークエンスも見逃せない。母に聞かれてはマズイところは肉声のみで話し、劇団員の内輪もめも意訳(違訳?)で見事に解決。せりふを覚えていない役者には手話によるカンペでSOS。知っている人にか通じないというまるで外国語のような手話の特性を生かしたうまい演出が光っていた。
予定調和的ではあるけれど
(2007-03-26)
それが心地よい映画です。家族で楽しむには最高の一本ですね。
聾唖者が自分の可能性を普通に生きて行くこと、という一点に絞ったストーリーがよく決まっています。子役の岡崎さん夫役の田中さんをはじめ、しっかりしたサポートで映画を引き締めています。
沢山の男女の聾唖者が登場して活躍しますが、聾唖だと知らされなければ「手話の上手な俳優達」にしか見えません。主演の忍足さんも、これが映画初出演とは嘘だろうと思うような表現力で、体一杯使って気持ちを訴えてきます。もしかして皆さん耳が聞こえず口がきけない分、顔と身体の表現が鍛えられているのでしょうか。もう一つ嘘だろうと思うのは忍足さんの可愛らしさで、クランクイン時29歳にはとても見えない…
冒頭近く、ヒロインと友人が手話でダべる場面はちょっとしたカルチャーショックでしたね。本当に気軽に雑談しているんだもの。日頃聴覚障害者と接する機会のない私には、この場面だけでも見る価値がありました。
とにかく見てみて
(2003-03-04)
本当に、何度見ても、感動する映画です。
今までの、ろう者はかわいそうで・・・といった雰囲気の映画ではありません。とにかく、一度見てみることをお勧めします。
今まで見た映画の中で、3本の指のなかに入る作品です。
手話と愛
(2002-09-03)
手話は日本語、英語、フランス語、中国語と同じ一つの言語。
ろう者はその言語を使う人間にすぎません。
健聴者の生活では感じない不便さがあるかもしれませんが、ろう者にとってはそれは当たり前のこと。
それを過剰に「かわいそう」と思うことはろう者にとって重荷なんだと教えられました。
ろう者も普通に恋をして結婚をして出産をします。
ごく自然におこる日常の生活が描かれていますが、その中でテーマ「愛」が観るものの心に響いてきます。
笑いました、涙が止まりませんでした。
小さなお子様と、恋人と、親と一緒にみてほしい作品です。