必然を感じさせる悲恋と音
(2008-01-22)
日本のもう一つの戦後史‥‥‥とも言えるような歴史設定を与えられた作品。
警察、公安、非合法テロ組織が織り成す情報戦と、その中で生まれた愛し合える筈もない立場の男女の恋愛が語られる。
謎解きのように仕掛けと裏切りが交錯し、混沌としている様に見えて、その実、非常に予定調和で、先が読めてしまう点はあるが、意気込みと中身の濃さが十分に伝わって来る。
画は、暗さが印象的。デジタル着色なので、発色は奇麗で微細な色の違いが良く分かる。良く分かり過ぎて、キャラの動きがぎこちなく感じられ、妙な違和感を覚えるほど。
一部、輪郭が不鮮明に感じる部分もあるが、これは空気感を演出しようと、フィルターを噛ませているためらしい。
音は銃器の撃音、火炎瓶の爆発音などが耳に残る。広場、地下水路、ゴミ捨て場など、銃器が使用される環境毎で、音が微妙に異なって再生されるのが素晴らしい。
台詞回しがワザとらしく感じられる所もあるが、それを補って余りある銃器類の音、と言えるかもしれない。
白眉は、地下水路での追い駆けっこのシーン。無音の中に音が聞こえ、音が聞こえる中に無音を感じさせる。ここから生まれる怖さの演出が秀逸。
テーマの古さを逆手に取った映像美に感動
(2007-11-18)
プチ押井ファンながらも、どうも学生運動的世界を使ったテーマ自体がオッチャン臭くてキツイなぁ…なんて思いながらも、観てびっくり!暴力の乾燥した無意味さ、悲しさ、はかなさが独特の映像美の上に上手く表現されており、今観ても郷愁以上の何かを感じる作品だった。
いまさらですが観るべき映画です。
(2007-10-04)
もうかなり昔の作品ですが有名な作品のくせになぜかピックアップされない作品です。どうも有名な作品の陰に隠れてしまっている印象があります。私は昔からこの作品が好きで心を離さない名作だと感じておりますが人によってはたぶん理解しにくいし最後はなぜ?と納得出来ないと思います。アニメと考えず邦画映画と思って映画好きの大人は是非観て下さい。
この諜報戦は傑作中の傑作
(2007-09-28)
正直一回見ただけでは全てを理解することが難しいと思われるアニメである。ただ流されて見ただけではなんの後味も残らないであろう。なんだかよく分からないままストーリーが進んでしまい、ラストシーンへ移ってしまうはずである。そしてまたしても良く分からないまま「ああ、押井守節だな。」と終わらせてしまうことが私の場合あった。しかし、この作品の本当の注目すべき点は何気ない会話のやり取りにある。会話の裏には情報収集というものが隠されているのである。そしてなんといっても最大のどんでん返しは一見利用されているかに見えていた伏が実は一歩も二歩も先をいっていることが明らかになるシーンである(実際は人狼だが)。この作品は派手さはないが、非常に深いストーリーで構成されている。ストーリーを追うことができればラストシーンは最善の行動だったと分かるはずである。
マニア向け
(2007-02-25)
万人に受ける娯楽作品ではなく、一部のマニアが絶賛するだけの芸術的作品。
「人狼」だけではなく押井作品全般に言える事だが、「監督からのメッセージ」が伝わってこない。
又、美麗なCGと饒舌なセリフ回しにより非常に騙されやすいが、
ストーリーがオタクな上に幼稚なものが多い。
「レザボアドッグス」「ノッキンオンザヘブンズドア」「ムーランルージュ」あたりを見れば、
この映画のレベルの低さ、とりわけ「幼稚」の意味が良く解るだろう。
コテコテのオタクが映画を作っても、所詮オタクにしか受けない物しか作れないのだ。
監督はもっと広い視野を持つべきである。