一泊9800円のラブホ
(2008-10-22)
「○○、ラブホに入って一軍入れず!」なんて見出しが躍ってます。超高級ホテルで行われたサミットの話題をすっかり食ってしまった一泊9800円ラブホの話題、テーマは不倫です。「こわれ行く世界の中で」に遡ること10年前のアンソニー・ミンゲラの描く不倫の世界は、人の命を遥かに超えた「至上の愛」の物語でもあります。
確かにね、道ならぬ恋は道徳的に限定すればダメですよ、はい。現実的ではありませんね。
ただ、相手が誰かの連れ添いであろうと、身分不相応であろうと、歳の差があろうと、己の存在のすべて、己の命に代えても守りたい異性がある日突然目の前に現れたなら・・・。あなたは、そんな運命の悪戯には翻弄されることなく、神に誓って正しく生きて行けるでしょうか?それとも、命や生死を超えて、その人と恋に落ちるでしょうか?
映画の後半、洞窟に彼女を残して砂漠を彷徨い、必死の思いで飛行機を調達し、彼女の元に戻った時・・・。ああ、本当にね、人生ってこんなものなんだと思い知らされます。
運命とは、これほどまでにして受け入れざるを得ないものなのでしょうか。砂漠という、人が生き、恋を育むにはあまりにも厳しく、それゆえにかあまりにも美しく雄大な大自然と、誰も止める事の出来ない大きな時代の流れの中で、大切な物を己の命とさえもひきかえる事も出来ない人間の弱さを、この映画は乱暴に投げつけてきます。
見終わったあとの、言葉にならない切なさ、これも人を愛する事の切なさのひとつなのかもしれないです。恋人たちやご夫婦に、今そうやって二人で手をつないでいられる事のなにげない、でもとても大きな幸せを是非実感してください。
ミンゲラ監督は今年3月、54歳の若さで死去。冥福をお祈りします。
魅せられます
(2008-01-10)
登場人物一人一人に魅せられます。
それぞれの行動に共感したり反発したり胸が熱くなったり..。
私はヒロイン(クリスティン・スコット・トーマス)の主人の行動に涙を流しました..。
そして何より映像美が素晴らしい。
観ているうちにそれぞれのシーンが脳裏に焼きつき、ある時ふと蘇る。
何度も観たい作品です。
この作品を「不倫モノ」として観てしまうのは勿体無いです。
原作も良いですよ。
原作の詩のような美しさを表現できている映画
(2007-12-02)
初めて見た時は『壮大なメロドラマ』で片付けてました。何人かの人がレビューで書かれていたように、不倫モノが好きでない私には生理的に受けつけないものがありました。しかし、The Constant Gardenerを見てすっかりレイフ・ファインズに魅了されてしまい、彼の過去の作品を全て再鑑賞するうちに、全く違う視点でこの作品を見ることができました。砂漠という神秘的な舞台も魅力の一つですが、アルマシーが片時も離さないヘロドトスの本が印象的な小道具になっていて素敵でした。イタリアの廃墟では、年も育った環境も違う4人が身をよせあいます。キプリングの朗読の仕方にはこだわりを見せるのに、死期を待つ以外何も欲さない全身火傷を負った患者、他人の戦争を戦ったキップ、愛する人達を失ったハナ、指を失ったカラバッジョ。大声で嘆き悲しまないけれど皆心に深い深い傷を負っています。アンソニー・ミンゲラは恋愛という日常的で普遍的なものを描きながら、戦争がいかに愚かで人々の人生を奪うかを伝えています。彼の他の作品でもそうです。原作は詩のように美しく、登場人物の描き方にも引き込まれますが、この作品はその美しさと悲しみを映画という『言葉』に翻訳して見事に描いていると思います。
単なる浮気妻との不倫愛の思い出話
(2007-01-15)
テーマもロマンスもなく、延々168分続く、拷問映画。
無理やり戦争にこじつけてるけど、
よくよく見ると、戦争とは何の関係もない。
ただ輝かしい不倫愛を事故で失っただけ。
じゃあラブロマンスかというとそうでもない。
ほんと単なる不倫愛をテーマにしていたとしても、たとえばそこに夫が出てきて、
ドロドロの三角関係になってしまい、その心の葛藤や恋愛の駆け引きや、
互いの立場や仕事の関係などで、ドタバタ劇があるのなら、
見ていてもおもしろいけど、そういうのもまったくない。
普通に不倫して、ただその過去の楽しい思い出を回想しているだけ。
回想しているその場面もさっぱり意味がわからん。
なぜ何の関係もない一人の患者を、隊から離れて、廃墟で看護婦が看病しているのか、
意味がわからんし、別にそんなシーンを入れる必要性もどこにもない。
死んだ不倫妻に「地図のない」だの「国境がない」だの「権力者のない」だの、
戦争を匂わせるような遺書を書かせているけど、
別にこいつらの不倫愛は戦争や国境や権力者のせいで引き裂かれたわけではない。
ほんとね、意味がないんだね。
胸に残るは切なさ
(2006-10-28)
題名にありったけの切なさと悲しみがこもってる。
テンポがいい作品ではないけれど、最後は静かに涙が流れる。
過去と現在の組み合わせ方が巧い。
正義論は抜きにして見てほしい。