プロファイラー対殺人鬼を描いた頂点・原点。
(2008-01-16)
犯罪物は好きでも猟奇殺人がテーマとあって劇場にはよう行けなかった。しかし本作は異例のアカデミー賞受賞作でもある。大抵アカデミー賞狙いは年末ぐらいにアメリカで公開されるがこれはアカデミー賞の前年の夏公開であること。そしてテーマが猟奇殺人を扱っていることなど。
オープニングのシーンからこの作りは、ただの猟奇殺人ものではないと思わせた。クラリスがセリフもなく黙々とトレーニングコースを走って障害をこなしていくところである。スタントなし。そして射撃練習のシーン。わずか数秒とは言え発砲シーンでは目を閉じてない。「リーサル・ウェポン」のメル・ギブソンは引き金をガク引きしていたり目を閉じていたりとガンマニアでは話題になった。
現場へ向かうシーンでも上司と話している最中に車がトンネンルに入っていくのも暗示的。容疑者宅での引きつるような愛想笑い。いよいよ容疑者との対決でもまずコートを脱いでシャベルをドアに立てかけるところも、S&W M10で6連射してもすぐ弾込めをするシーンもとてもリアルな出来だ。放たれた銃弾によって開けられた窓には横たわる小さな星条旗。深読みすればきりがないほど。
引き込まれる凄み
(2006-04-23)
最初のクラリスがレクターに会いに行くシーン
レクターが登場する前にもう恐怖感がフィルム全体に充満しているのですがそこが強力に印象に残る
もうそこで映画の中に引きずり込まれてかなり楽しめる
知的なレクター
彼は好き嫌いが激しいのか?クラリスには興味を抱き過去を知れたときには喜びを感じ情報を提供し、終盤指と指が触れるシーンがある
レクターは妙な喜びを感じていたに違いない
歴史的作品
(2003-10-28)
映画の歴史の中、「サイコ」からの流れで最も重要な作品でしょう。
もともと恐ろしく完成度の高い原作を映画化するだけでも、その労力は大変だったに違いないはずですが、これだけしっかりと作られた原作付の映画はちょっとないです。
そして何より主演2人。
アンソニー・ホプキンスはこの役でローレンス・オリヴィエを超えました。狂気と野性を内に秘めているのにソフィスティケートされた物腰と理知的な態度。瞬きをしない視線と異常なまでに鋭い嗅覚を悟らせる演技、どれをとっても彼の演技者としての才能の集大成でしょう。多くの方が語られ、彼個人も「アクターズ・スタジオ・インタビュー」でいくつか語りましたが、彼の演じたレクター博士は既に悪のカリスマとも言えるでしょう。
ジョディ・フォ!スター。
若くしてディズニーの子役のキャリアを積み出し、「タクシー・ドライバー」、大学、「告発の行方」と着実に演技者としての力を蓄えたその結果がクラリス=スターリングです。
ジュリアン・ムーアにはないものがジョディにはあり、そのジョディの中から滲み出る何かがクラリスを性格づけたのです。
この作品の後この種の映画は激増しましたけれど、まだこの映画に比肩しうる作品は数少ないです。
一回り昔の作品となりましたけれど、ぜひ手元に置いておきたい1作ですね。
何度見ても味わいのある、リアルな描写
(2003-09-26)
この映画にはアメリカのいろんな風景が出てきます。エリート警官が集まるクワンティコのFBIアカデミー、反対に田舎警官が集まる田舎の葬儀社。エリートおたく学芸員のいるスミソニアン博物館、反対に求人の少なそうな田舎の町。上院議員のリッチな娘(ちょい太り気味)のアパートメント、連続殺人犯のどす暗い住処。これらの対比がとてもおもしろい。
ハリウッド映画に出てくるアメリカ人はみんなスマートで(そんなわけねー!)黒人はカッコよく(わけねーって)って感じじゃないですか。そーゆうのを排したリアルな情景描写が好きですね。
ちなみに、あのシーンに流れるゴルトベルク変奏曲はグールドじゃないです(金かかるっしょ)。エンドクレジットに出てきます。細かいクレジットが読めるのはDVDの長所ですね。
未だ完結していない恐怖の原点
(2003-09-07)
捜査に行き詰まった連続殺人事件、FBIは苦肉の策を取った。それは過去に連続殺人を自ら犯し現在精神病院で無期懲役刑に服している天才外科医「ハンニバル・レクター博士」に聞き取り調査を行い、犯人の性格や行動パターンを割り出してもらおうというものだった。博士に実際に話を聞くのはまだFBI訓練校の学生でもある経験の浅い女性刑事「クラリス・スターリング」。観客は彼女の目を通して恐怖を垣間見る。
この作品はそれまでのミステリー映画にはない独特の恐怖がある、それがレクター博士の「まともに見えるが実は正気ではない強烈に頭のいい殺人者」というキャラクターであろう(しかも人間的にすごく魅力的)。群衆の中に紛れて行く脱獄したレクター博士の後姿を見て、実際の世の中に果たして何人のレクター博士がいるのだろうと思い恐怖した。“あなたの尊敬するあの人は、もしかして...”