ベトナム戦争4部作の完結
(2007-07-16)
この映画は、オリバー・ストーンのベトナム戦争を主題とした完結作品。「プラトーン」でアメリカ軍兵士から見たベトナムを、「7月4日に生まれて」で帰還兵から見たベトナムとアメリカを、「JFK」でケネディ大統領暗殺からベトナム戦争へ突入するアメリカを描いてきた。
この映画では、アメリカ兵とベトナム人から見たその後のアメリカを描いている。前の作品ほど評価されていないような気がしますが、女性の半生を通して戦争を見つめる視点は、胸に迫るものがあります。
主演は、日本では宇宙人のトミー・リー・ジョーンズ。個性派俳優が、ベトナム戦争を充分に物語ってくれます。
HEAVEN & EARTH
(2007-04-21)
自らもベトナム戦争を体験しているオリバー・ストーン監督だからこそ描ける作品です。
『プラトーン』とは違って、完全にベトナム人に焦点をあてているところが良かったです。ロケ地も多くのベトナム戦争は『プラトーン』も含めてフィリピンで撮影されていますが、今作はタイとなっているあたりが田園地帯や市街地がよりベトナムに近い映像となっていた。
主演男優のトミー・リー・ジョーンズはちょっとミスキャストのような気もしないではないが、やはり主演女優で映画初デビューのヘップ・ティー・リーの体当たりの演技がとてもよかったと思います。
今回はKITARO音楽がなんともベトナムの風土にマッチしていましたね。唯一ゴールデン・グローブ賞も獲得して良かったです。
内容的には、悲惨なベトナム戦争が兵士のみならず、そこに暮らしているベトナム人に、どれだけの悲劇を生んだかを教えてくれる内容でした。特に、ベトナム戦争後のアメリカ兵と現地女性との結婚は非常に多く、ベトナム人だけではなく、後衛基地であったフィリピンや沖縄も含む多くの女性は新天地であるアメリカで異文化がもたらす様々な不幸と戦わなくてはいけなかった。
この作品はベトナム戦争が生んだ文化の破壊とそれに代わってアメリカイズムを植え付ける移民の現実の姿を浮き彫りにしているところが強く表現されている。
人生の教科書
(2006-11-04)
内容については、既に詳しく説明されているので省略します。この映画は、レンタルビデオ点の棚の片隅に1枚だけありました。当時(3年前)僕は仕事や人間関係でどん底のような気持ちでした。何故これを選んだのか分かりません。ただ、心の底から涙があふれ出て、10回は観たと思います。今、原作(邦訳)も、シナリオ本も、サントラも、そしてDVDも全て手元にあります。「何故私が?」と悩まれている方、辛い思いをしている方、かかえている方。もしかしたら、一つの道が見えるかもしれません。僕は戦争映画としてこれを観ませんでした。
登場人物の言語を大切にしてほしい。少々、残念。
(2005-12-26)
戦争は決して人を幸せにしない。いかなる思想や宗教も、武力が加わると、その崇高さは消えうせ、人を破壊する。「ベトコンも政府軍もきらい」というヒロイン、レ ・リーの言葉に、鑑賞者のだれもがおそらく納得・賛同することだろう。戦争を時代背景のせいにしたり、軍司令部・統率者の責任追求をすることで終わらせるのではなく、世界中のすべての人が主体的に武力の放棄、平和の構築を模索することが必要である。
後半は、レ ・リーが数々の苦労・不幸の末にやっと見付けたつかのまの幸せ、スティーヴ ・バトラー軍曹との結婚についてのストーリーで、スティーヴのPTSD(心的外傷後ストレス障害)や葛藤、ベトナムとアメリカの文化や生活の相違、宗教が異なる夫婦間の確執、伴侶の自死など、重いが考えるに価値のある話題がいっぱいつまっている。ただ、アメリカのコミックストーリーかな、と錯覚するような場面がところどころにあり、残念だ。
おそらく書物やドキュメンタリー・フィルムだと共感することができるかもしれない部分が、映画にするとそれが持つエンターテインメント性にひきずられ、どうも浮いてしまうという印象を持たせる。それと、登場人物の言語を大切にしてほしい。ベトナム人の家族間の会話はやはり、英語よりベトナム語のほうがしっくりするだろう。平和の大切さを訴えたい監督さんは、信念と自信を持ってメッセージして欲しい。真摯な姿勢は必ず、鑑賞者に伝わる。
ベトナム戦争関連映画の中では最高
(2003-03-16)
古今東西、戦争の最も被害者は女性です。その当時の一般的なベトナム女性の姿をよく描いた作品だと思います。
戦争映画の醍醐味である戦闘シーンこそほとんどありませんが、その戦闘の裏にある人間模様、ベトナムの自然、そして特にアジア仏教米作圏の家族観や祖霊崇拝と民俗、こういった事柄が兵士では無くベトナムの一女性を主人公として描くことによって感動的に描かれ、より深く戦争の抱える大きな問題を見る者に訴えています。
自伝を原作としているので、当たり前と言えばそれまでですが、シナリオももの凄くリアルです。
反面、これまた主人公の自伝であるから仕方ありませんが、少々主人公の生き方が美化されすぎているような気もしますが…。
他のアメリカの制作によるベトナム戦争映画一般的に言えることですが、白人の有色人種や異教徒に対する蔑視と偏見と差別がどうしても鼻についてしまいますが、この映画に於いてはその白人の傲慢さを批判的に描いていることも、アジアの黄色人種の一人として好感が持てました。
そして、カトリックと仏教を対比させることによって、より一層見る者に分かりやすくベトナム戦争の抱えていた問題を伝えていると思います。
オリヴァー・ストーン監督の“ベトナム戦争三部作”の完結編として相応しい傑作でした。