是非本書を堪能してください
(2004-09-05)
素晴らしい作品。
本書を読む者は、映画を見ないことをお勧めしたい。
本書は、主人公が見えなくなってしまったものを、【不思議】な人物が、彼に取り戻させる物語。無くした物とは『スウィング』。
人間・自分達が無くしてしまった本来のスウィング−本来の自分・自分らしさ−を取り戻す為に迷い苦悩し、それを助け合える仲間とともに成長していく成長物語。ゴルフファンにも必見の物語でもあり、良質なファンタジーでもある。とにかく余すとこなど無い素晴らしい物語・作品です。
自分の真のスィングを見つける
(2004-03-30)
本書「バガー・ヴァンスの伝説」を読んでみて、これは映画と小説が全く別物であるという好例であることがわかった。以前、「ナインス・ゲート」を読んで、映画では物語の半分しか語られていなかったということを発見したときも驚愕したが、今回はそれ以上の驚きがあった。映画はどこまで行ってもゴルフの映画だが、小説の方は精神世界に深く分け入っている内容だった。
実は、小説版はもうそのまま「バガヴァット・ギータ」だったのだ。全体のストーリー構成から、名前までみんな「ギータ」だ。ウィル・スミス演じるバガー・ヴァンスという名前も多分バガヴァットのもじり、ギータの中でクリシュナが語りかけるアルジュナ王子から多分マット・デイモン演じるジュナの名前がきている。映画のセリフで"field"という言葉が、ゴルフコースのことだとして翻訳されていたが、これは「フィールド」という完全に独立の言葉として語られる、小説版のとても大事なキーワードだ。
ストーリーとしても、映画では最初と最後しか姿を見せないジャック・レモンの演じた老年時代のハーディが小説版では大活躍する部分がとてもいい。映画で語られた部分と語られなかった部分のつなぎ役であり、彼なしではそもそもこの物語が成立しない。
では、小説版では一体なにがメッセージとなっているのか?これはかなり難しい問いだ。多分、ギータは何を言おうとしているのかという問いに答えられなければならないのだろう。あくまで自分に残った言葉で語りたい。それは、人生で一番大切なのは、グリップであるということだ。本書を読んで、頭でなく、自分の手こそが考え、語り、行動するのだ、と感じた。